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浮気男の使い道
第二章

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「夫婦でいるわ」
「まあ麻利絵さんがそう言うなら」
「私達はいいわ」
「それじゃあね」
「これからもそうしていってな」
 こう言ってだった。
 周りはよしとした、そして。
 麻利絵は子供達にもだ、こう言った。
「お父さんはお父さんよ」
「浮気してもか」
「いいのね」
「そうよ、そうした人ってことでね」
 高校生の息子の幸太郎と中学生の娘の杏理に話した、息子は父親より母方の祖父に似ていて細い目に四角い顔で黒髪を短くしていて背は一七〇位だ。娘は黒髪を長くしているがその外見は母そっくりだ。
「いいわね」
「まあね、お父さんは浮気ばかりで」
「家にあまりいないけれど」
「別に他何もないし」
「じゃあいいのね」
「そうよ、ただあんた達はね」
 子供達にはこう言った。
「わかってると思うけれど」
「ああした人にならない」
「浮気したら駄目ね」
「普通は離婚とか慰謝料とかの話になるし実際にね」
 夫はというのだ。
「もういつもよ」
「慰謝料の話なってるよね」
「相手の人と」
「幸い子供とかの話はなってないけれど」
 それでもというのだ。
「慰謝料の話にはなってるから」
「面倒だね、それって」
「お金のことは」
「そうよ、お金は稼いでくれても」
 そして家族を養っているがというのだ。
「お父さんのそうしたところはよ」
「駄目でね」
「見習ったら駄目ね」
「そのことはしっかりとね」
 こう言うのだった、そしてだった。
 麻利絵も子供達も和博が自分達を養ってくれていることには感謝した、だが決して尊敬はしておらず。 
 只のATMと思うばかりだった、やがて子供達は大学まで卒業して就職したが独立してもう家に寄り付かなくなった。
 麻利絵は相変わらず浮気ばかりする夫と一緒にいたが。
 夫が仕事を人に譲って引退するともう自分の年金で暮らすことにして彼と離婚した、そしてもう二度と会わなかった。
 やがて和博が死んだと聞いたが。
「そう、じゃあお葬式だけはね」
「しようか」
「それだけでもね」
 久し振りに集まった子供達も言った。
「最後老人ホームにいたのね」
「そこで亡くなって」
「ええ、身内だったからね」 
 それでとだ、麻利絵は話した。
「それ位はしてあげましょう」
「浮気ばかりして離婚したけれど」
「お父さんはお父さんだしね」
 子供達もこう言ってだった。
 和博の葬式は行った、子供達の家族も出席したが誰も悲しいとは思わなかった。ただ死んだとしか思わなかった。


浮気男の使い道   完


                   2022・12・25
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