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第一話 開幕その七

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「そうされていますし」
「それでなのね」
「今もです」
「嘘を吐いているの」
「そうです」
 こう言うのだった。
「そのことを申し上げておきます」
「そうなのね」
「ただ僕はその貴女を嫌いではありません」 
 牙暁はこうも述べた。
「最後の最後まで地の龍の一人として」
「働いてくれるのね」
「そうさせて頂きます」
 こう言うのだった。
「必ず」
「それではお願いするわね」
「夢見として」
「貴方は優れた夢見よ」
 庚は牙暁に顔を向けて微笑んで話した。
「姉さんに負けない位のね」
「そう言って頂けますか」
「今は嘘を言っているかしら」
「そうは感じません」
「そうよ、私は正直よ」
 その笑顔のまま話した。
「誰よりもね」
「そのお言葉も嘘と言ったら」
「否定するわ」
「そうですか」
「ええ、私はあくまでね」
「お姉さんが憎く」
「人間が滅ぶことを望んでいるわ」
 こう言うのだった。
「あくまでね」
「そのお言葉は最後まで」
「変わらないわ」
 また言ったのだった。
「何があってもね」
「では」
「ええ、今これ以上お話することはないわ」
 こう牙暁に話した。
「だからね」
「また」
「ええ、またお話しましょう」
 静かに微笑んでだった。
 庚は牙暁に告げた、彼はその前から姿を消した。これで終わりだった。
 牙暁は大柄で色黒の黒髪を短く刈った男の夢にも入った、見れば切れ長の目の光は極めて優しいものだ。
 その彼にだ、牙暁は声をかけた。
「あの」
「ああ、あんたか」 
 男は牙暁に微笑んで応えた。
「暫く振りだな」
「覚えてくれていますか」
「衝撃的だったからな」 
 牙暁に微笑んだまま答えた。
「だからな」
「それ故に」
「覚えてるさ、俺が地球を蘇らせる地の龍の一人なんてな」
「思いも寄りませんでしたか」
「高校出て自衛隊に入ってな」
 そうしてというのだ。
「自分に合った仕事だって思っていたしな」
「そこに僕が来て」
「そうだなんてな」 
 地の龍の一人だと、というのだ。
「想像もしなかったさ」
「それで、ですか」
「驚いてな」
 それでというのだ。
「あんたのこともな」
「覚えていてくれましたか」
「ああ、玖月牙暁さんだな」
「はい」
 牙暁はその通りだと答えた。
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