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温泉宿に来た老人
第二章

[8]前話
 食事に酒を楽しみ温泉も入った、日下部はその話を聞いて落ち目のこの温泉街に何なのかと思った。だが。
 暫くしてだ、この街にだ。
 八条グループ世界屈指の企業グループのホテル部門と飲食部門が来てだった。
 日下部の宿屋をはじめとした街の主な宿屋と店を買収し経営は彼等に任せたうえで大々的に宣伝してだった。
 街に活気が戻った、ここで日下部は知った。
「あのご老人は」
「はい、八条グループの総帥さんで」
「この街のお話を聞いてです」
「それで街に来てです」 
 それでとだ、従業員達が彼に話した。
「どんな状況かです」
「実際に泊まって温泉に入って」
「食事もして確かめたそうです」
「八条グループの人達にもそうさせrて」
「あのお客さん達がそうだったんだ」
 街に来た彼等がとだ、日下部は察した。
「そうだったんだ」
「その様ですね」
「どうやら」
「それで、です」
「この街の主な宿屋もお店も傘下にして」
「宣伝をしてです」
「街全体を八条グループで主導して復興してくれたんだ、まあね」
 日下部は自分の考えを述べた。
「経営はそのままだからね」
「はい、八条グループの傘下に入っても」
「子会社みたいなものですから」
「だからいいですね」
「うん、しかし宣伝一つでこうまで変わるなんて」
 客足が戻った理由について話した。
「世の中わからないね」
「そうですよね」
「宿やお店を奇麗にして」
「お料理やお酒を美味しいものにする」
「接客も丁寧に」
「それだけでは駄目ですね」
「自分達から宣伝もしないと」
 さもないと、というのだ。
「よくならないね」
「そうですね」
「何か一つが足りないと」
「そうなりますね」
「そうだね、そのことがわかったよ」
 持ち直した状況の中で言った、そうして彼は仕事を頑張った。他の宿や店もそうでありその中には自分達での宣伝もあった。そして自分達を救ってくれて大切なことを教えてくれた八条グループの総帥に感謝するのだった。


温泉街に来た老人   完


                   2022・12・19
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