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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第138話:刮目すべき、父の姿
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いた。
このままでは父が危ない。響は急いで視線を巡らせ、キャロルにより弾かれたギアペンダントを探した。
「ッ! あった!!」
目的の物は直ぐに見つかった。響は急いで駆け出し、落ちているギアペンダントを拾いギアを纏おうとした。
それにキャロルが気付き、彼女は洸から響に視線を移すとまだギアを纏っていない彼女に砲撃を放とうとする。
そこに洸がキャロルに抱き着き、攻撃を中断させた。
「くっ!? 貴様、離せッ!?」
「誰が離すもんかッ! 響は、俺の娘は絶対にやらせないッ!!」
「こ、のぉっ!!」
「ぐぇっ?!」
しつこくしがみ付き、狙いを定めさせようとしない洸に業を煮やしたキャロルは一瞬の隙を突いて彼の腹を殴り、怯んで拘束が緩んだ瞬間に足元に砲撃を放ち爆風で洸を吹き飛ばした。
「がはっ?!」
「お父さんッ!? くっ!」
ギアペンダントを拾った響は、洸を助けるべくギアを纏おうと聖詠を口にしようとした。だが彼女がギアを纏うよりも、キャロルが洸に砲撃でトドメを刺す方が早かった。
「消えろッ!」
「ぁ……」
放たれた砲撃が洸へと飛んでいく。洸はそれを諦めの目で見つめ、直後に起きた爆発で彼の姿は見えなくなった。
「そ、そんな……お父さん?」
父の姿が爆炎で見えなくなった瞬間、響は聖詠を途中で止め呆然と父が居た場所を見つめていた。父の死を認めたくなくて、でもあの状況で父の生存は絶望的で、響はその場に膝をつきそうになる。
呆然と洸が居た場所を響が見つめていると、風が吹いて煙が流されていった。
「――――え?」
「何ッ?」
煙が晴れた先に広がっていた光景に、響とキャロルが同時に声を上げた。
そこにあったのは無残に吹き飛ばされた洸の姿ではなく、金色に輝く六角形の障壁だった。キャロルが展開するものとは違う、魔法陣の様な障壁。
それを展開しているのは、響が良く知る魔法使いである颯人でも、透でも、ガルドでもない。白いコートに白いソフトハットを被った見知らぬ人物だった。その人物が、障壁を張り洸を守っていた。
響は彼の事を知らない。しかし守られている洸は、その男に一度会った事があった。
「あ、アンタは……」
「男子三日合わざれば刮目して見よ、と言うが……なかなかどうして、立派に父親をやっているじゃないか」
顔は帽子の鍔で隠れて見えないが、その男性……ウィズが満足そうな顔をしているのは声だけで分かった。
ウィズは障壁を消すと、右手の指輪を着け替え帽子の鍔の下からキャロルを睨み付けた。対するキャロルは突然の乱入者に苛立ちを露わにする。
「何だ貴様はッ!? 新手の魔法使いかッ!!」
「あぁそうさ。しがない魔法使いだよ」
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