暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
魔法使いでありんす
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「ぎゃっははははー!」

 

 下品な笑い声が響きわたる。

 見滝原と呼ばれるその街。中央近くのその通りは、平日の昼間ながら、多くの人々が行き交う。

 桜が咲き始める季節。暖かいその街を闊歩するのは、人間ではなく怪物だった。

 

「さあ、絶望するでありんす! そして、新たなファントムを産み出すでありんす!」

 

 そう叫ぶのは、闊歩する異形の怪物。

 

「このファントム、ブラウニー様がお通りでありんす!」

 

 ブラウニー。

 北欧の民間伝承に登場する妖精と同じ名を持つそれは、スキップをしながら、その手に持った槍であちらこちらを破壊していく。自動販売機が真っ二つになり、建物に大きな穴が開いた。

 その茶色の体を覆う無数の毛を揺らしながら、ブラウニーは叫んだ。

 

「さあ、行くでありんす! グール共!」

 

 そうしてブラウニーが放り投げたのは、無数の石。

 だが、地面に接触した小石たちは、途端に紫のオーラを纏う。やがて人型になっていくそれら。それぞれが無表情でぎこちない動きをしながら、槍を振り回し、破壊を広めていく。

 それはグールと呼ばれる下級ファントムたち。それぞれ角ばった動きで、扇状に広がっていく。

 グールたちはそれぞれ町のあらゆる設備を破壊していく彼ら。逃げる人々を眺めながら、ブラウニーは満足げに頷いた。

 

「さあ! 絶望しファントムを……ぐおっ!」

 

 だが、それ以上の言葉を続ける前に、ブラウニーはバランスを崩した。

 頭部に炸裂する火花。それは、ブラウニーだけでなく、グールたちにも例外なく火花を散らしていく。

 

「な、何でありんす?」

 

 次々に倒れていくグールたちを見て、ブラウニーは目を丸くした。

 だが、異変は続く。

 雪崩のように倒れていくグールたちに、ブラウニーはあせあせと頭を抱えた。

 そして、見た。その正体を。

 

「何でありんす……これは?」

 

 ブラウニーが拾い上げた、グールを倒した原因。指に挟まるそれは、銀で出来た弾丸だった。

 

「こんなものが、どこから?」

 

 だが、その言葉と同時に、発砲音が轟いた。

 顔を上げれば、確かにどこからか飛んでくる銃弾が、グールたちに命中していっている。それはさらに、生き物のような弾道を見せ、的確にグールの首元に火花を咲かせる。

 そしてとうとう、その発生源が現れた。

 銀の銃。陽の光を煌びやかに反射するそれは、一瞬ブラウニーの視界を遮った。

 現れたのは。

 

「人間……?」

 

 二十歳前後
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ