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『言霊使いと幻想郷』
第五話
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 そしてそれから三年の月日が流れた。

 俺は十六歳となり、霊夢は十二歳になっていた。

「ほらほら誠兄、茶碗片付けるわよ」

「はいはい」

「はいは一回よ」

「……はい」

 性格が少しきつくなった霊夢でした。霊夢ちゃんと言われたらかなり睨まれたな……。

 ちなみに霊夢の服は巫女服である。よし、よく分かっているな紫さんや。

「はぁい、霊夢いるかしら?」

「ん? 紫さんじゃないですか」

 スキマから紫さんが現れた。いきなりどうしたんだ?

「霊夢なら茶碗を片付けていますけど」

「そう、なら待たせてもらうわ」

 紫さんはそう言って座布団に座る。俺は紫さんにお茶を入れる。

「どうぞ」

「ありがとう誠君。どうかしら誠君? 幻想郷に来て三年になるわね」

「そうですね……一言で言えばのどかですかね」

「機械とか恋しくないんじゃないの?」

「最初はそうでしたけどね。ま、馴れですね馴れ」

 俺はそう言ってお茶を飲む。ふぅ、苦みがいいな……。

「あら紫じゃないの」

 そこへ食器を片付けた霊夢が炬燵に入る。入るというかあれだがな。布団は片付けてるし。

「霊夢、仕事よ」

 霊夢が来た途端に紫さんの表情は真剣になる。かくいう俺と霊夢もだが……。

「宵闇の妖怪と言われているルーミアの人食いが激しいわ。既に五人が死亡して十二人が重軽傷を負っている」

「ルーミアが?」

 俺は思わず驚いた。確かにルーミアは人を喰うらしいがボケェっとしているのが印象的なんだが……。

「そう、あのルーミアが思うけど本当よ。ただ……」

「ただ?」

「情報が少ないのだけれど、ルーミアと接触した人間の何人かはルーミアの目は虚ろでフラフラとしているらしいわ。恐らくだけどルーミアは操られている可能性があるわ」

「操られている可能性が?」

 ……これは厄介な事になってきたな。

「ルーミアを操っている人物は残念ながらまだ特定はしてないわ」

「妖怪の賢者でもある紫さんでも?」

「えぇ、意外にも犯人はすばしっこいかもね」

 紫さんは扇子を拡げて口元を覆う。一見、笑っているように見えるけど多分怒ってそうだな。

「それでルーミアは始末するの?」

 不意に霊夢はそう紫さんに聞いた。

「現状ではそうするしかないわ」

「……分かったわ。なら早速仕事の準備をするわ」

 霊夢はそう言って立ち上がり部屋を後にした。

「誠君もお願いね」

「……分かりました」

 俺がそう言うと紫さんはスキマに入った。



「貴女は食べれる人類?」

「……残念だけど食べれないわね」


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