第五百三十一話 奇巌山へその十五
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「もうここはだ」
「黙っておれというのか」
「その方がいい」
真顔での言葉だった。
「あんたはな」
「くっ、そんなファッションの奴に言われるとはな」
「オーダーメイトだ、どうだ」
「人に聞く以前のセンスだろうが」
仙人は氷室に怒って言い返した。
「どうやったらそんな服を着れるのだ」
「いいだろう」
「そう思うのはお主だけだ」
「あれっ、僕はいいと思うよ」
モーツァルトが笑って言ってきた。
「氷室さんいいセンスしてるよ」
「そうか」
「うん、僕もそのファッションでいってみるよ」
明るい笑顔での言葉だった。
「今度ね」
「それはいい、やはりお洒落もしないとな」
「氷室さんだからね」
「仕方ないわね」
ユナエルとミナエルはいささかクールに述べた。
「服のセンスはね」
「他のところはいいしね」
「紳士だし理知的だし」
「強いし私達もフォローしてくれるしね」
「流石仮面ライダー」
「おっさんと全然違うよ」
「だからそこでわしを出すな、わしは何処まで言われるのだ」
「もうそれは仕方ないでしょ」
ニコも顔を顰めさせて言ってきた。
「おっさん怠け者で動いたら迷惑かけまくりなんだから」
「ええい、最後にわしの真の力を見せてやる」
「見せてどんな迷惑かけるのよ」
「迷惑なぞかけるか」
「そう言ってあの騒ぎでしょ。本当に動かなくていいから」
「ふん、じゃあ不貞寝してやるわ」
「本当にそうしてくれたら助かるわ」
「よし、これで厄介な要素は今回も消えたぜ」
ユルセンは煽る様にして言ってきた。
「皆よかったな」
「よかったのか」
「ああ、おっさんのいびきがうるせえけどな」
ラウラにも言う。
「それだけだ、大飯食ってな」
「その二つでも厄介ではないか」
「迷惑かけられるよりずっとましだろ」
「それはそうだな」
ラウラもそれはと頷いた。
「ではだな」
「ああ、早く山に入ろうぜ」
こう言ってだった。
ユルセンは仲間達を先導する様に先に出た、そうして前に進んでいった。戦士達の前に最後の戦場が姿を現したのは間もなくだった。
第五百三十一話 完
２０２２・８・８
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