エピローグ 新章のはじまり(ヌーベルヴアーグ)
[2/24]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
出しでなんだかみっともない姿である。
「あたしも朝は弱いんだよ。知ってるでしょ? 二段階で掛けといた目覚ましどっちも無意識で止めちゃってたらしく、起きたばかりだ」
「やあん、わたしと一緒だあ。遺伝するはずないのにい」
娘令堂和咲と、母令堂直美には、血の繋がりはまったくない。義理の母娘だ。
「魂はしっかり繋がっていて、そこから遺伝したのかしらあ」
直美お義母さん、大好きな娘との絆を勝手に感じてちょっと頬染めウットリ顔だ。
の、せいで目の前では娘が、ゴッツン!
「うぎゃ! おっ、お母さんが唐突に変なこというから、また転んじゃったじゃないかあ!」
おでこの同じところを二度も強打して、さすがに赤く腫れてしまっている。といっても髪の毛ほどには、赤くはないが。
「別に変なことなんかいってないでしょ。それより遅いよ、早くしなさい!」
「だ、誰のせいでえ……」
下着姿のまま、おでこ押さえて恨み節。
などと、こんなことばかりしても埒が明かない。アサキは、壁に掛けてある紺のセーラー服とスカートを無造作に掴んだ。
これは前の学校での制服である。
今日から新しい学校生活が始まるのだが、そこで着る制服はまだ仕上がっていないからだ。
部屋を出て、袖に腕を通しながら居間へと入った。
入った瞬間アサキは、
「えーーーーーーっ」
大口を開けて、不満そうな声を出した。
居間には既に一人の少女がいて、壁掛けテレビを見ながら朝食のトーストを噛っていたのである。
アサキ同様に紺色のセーラー服を着た、幼顔のアサキよりもさらに少し幼い感じの、でもちょっと気の強そうな顔の少女だ。
「おっそいで、アサキお姉ちゃん」
トースト噛りながら、少女は一瞬テレビから目を離してアサキをちらり。
「雲音ちゃん、一人早起きしちゃっててえ……ず、ずるい」
とっとと起こしてくれていれば、下着で転んでおでこにタンコブとか痛くてみっともない思いをせずに済んだのに……
「はあ? この朝食を用意したの、誰や思うとるんや!」
トーストやスクランブルエッグの乗った三人分の皿が置かれたテーブルを、雲音はイラついた顔でバンと叩いた。
「お姉ちゃんが、明日から新しい学校で緊張するうううとかはしゃいで遅くまで起きてたのが悪いんやろ!」
「うう、ぐうの音も出ない」
「ええから、はよ食べや。まだ、ぎりぎり間に合うやろ。昨夜みたいな長トイレにならへん限り」
雲音は、ははっと笑った。
「これから食事の人に、そういうこといわないでもらえますかあ」
抵抗ともいえない抵抗をしてい
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ