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オウムに教える言葉
第二章

[8]前話
「お父さんよ」
「お父さんが教えたんだ」
「ええ、そうよね」
 ここで夫の健介に顔を向けた、息子に黒髪を譲っていて小さな細い目と薄い唇で色黒で一八〇近い太った身体の彼に。
 そうしてだ、こう夫に尋ねたのだった。
「あなたが教えたのよね」
「そうだよ」
 夫も否定しなかった。
「何か教えようと思ったら」
「思いついたのよね」
「僕阪神ファンだからさ」
「私も正もだけれどね」
 即ち一家全員虎党なのだ。
「あなたは特によね」
「もう阪神がないとだよ」
「生きていられないわね」
「そこまで好きだよ」
「それで教えたのね」
「阪神のネタは色々あるけれど」
 それでもと言うのだった。
「最初に思いついたのは」
「そうした言葉ね」
「どれも今だに言われてるからね」
 そうした時から随分歳月が経ったがというのだ。
「それでだよ」
「ジョナサンに教えたのね」
「他にも教えたけれどね」
「そうなの」
「うん、これからも教えていくよ」
「神様仏様バース様」
 ここでジョナサンはまた言った、そして。
 六甲おろしも歌いだした、一家はジョナサンが歌うその歌を聴いてだった。
 自然と笑顔になった、それでその歌を聴きつつ団欒の時に入った。
 一家はそれからもジョナサンに言葉を教えていったが。
「阪神最強」
「岡田監督頑張れ」
「猛虎魂忘れるな」
 主に阪神関連の言葉をそうしていった、そのうえで彼も部屋に置いて阪神の試合も観た、彼等はそのうえで幸せを感じたのだった。


オウムに教える言葉   完


                  2022・11・18
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