第六幕その五
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「そのことは覚えておいてね」
「もう忘れられません」
「そんな素晴らしいことは」
「ずっと覚えておきます」
「外の国にいる時も」
「そしてどんなことがあっても」
「ちなみに僕達は伝、列伝でね」
ボームさんはまた言いました。
「オズマ姫は紀だよ」
「あっ、オズマ姫はオズの国の国家元首で」
「君主だからですね」
「それで、ですね」
「紀ですね」
「そうなるんですね」
「君主でも国家元首で帝と言っていいからね」
だからだというのです。
「そうなるんだ」
「そしてオズの国では外の世界と事情が違ってね」
「かかし君は一時オズの国の主だったし僕はウィンキーの皇帝だけれどね」
「オズマ姫が正式な国家元首だからね」
「それで僕達は列伝なんだ」
かかしと樵がその辺りの事情をお話します。
「魔法使いさんもそうでね」
「グリンダさんもだよ」
「そしてドロシー達は紀になるんだ」
魔法使いも言いました。
「オズの国ではね」
「ドロシー嬢とベッツイ嬢、トロット嬢の三人はだよ」
ボームさんがその紀で書かれている人のお話をしました。
「オズの国では紀で書かれているんだ」
「そこは外の世界とは違いますね」
「外の世界の紀伝体とは」
「また違いますね」
「聞いていますと」
「そうなっているんですね」
「そこはオズの国独特でね」
それでというのです。
「そうなっているんだ」
「そこは違いますね」
「オズの国独特ですね」
「外の世界の紀伝体は紀は帝王だけですが」
「オズの国では王女がそうなるんですね」
「そこは違いますね」
「そう、オズマ姫とドロシー嬢達は王女でね」
そうしてというのです。
「国家元首と大切なお友達だからね」
「外の世界とオズの国は何かと違うけれど」
魔法使いもお話します。
「そこは違うね」
「そうだね」
「そしてオズの国の歴史編纂室は紀伝体が第一だね」
「そうなっているよ」
「そうだね」
「それは中国と同じですね」
神宝はお話を聞いて思いました。
「中国の歴史書も紀伝体が基本なんで」
「そうだったね、君の国はね」
「はい、史記と漢書からです」
「そうなっているね」
「それで史記ではです」
この本ではといいますと。
「項羽さんや劉邦さんが帝王で」
「紀で書かれているね」
「それで蕭何さんや張良さん、韓信さん達はです」
「列伝だね」
「そうなっています」
こうボームさんにお話します。
「そこは分けられています」
「今君が言った人達は皆オズの国にいるよ」
「今はですね」
「項羽さんはいつも武芸の鍛錬をしていてね」
そうしてというのです。
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