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展覧会の絵
第十話 思春期その十二

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「神が定められることだから」
「まさにそれ故に」
「彼等への裁きが主になるね」
「では次はですね」
「あの塾の彼等のことを調べてくれるかな」
「畏まりました」
 すぐにだ。こう答えた神父だった。
「それでは」
「頼むよ。それでだけれど」
「それで、ですか」
「今日は藤会の本部を潰して」
「そうしてですね」
「神父が塾について細かく調べてくれている間にね」
 まさにだ。その間にだというのだ。
「幹の他の。枝もね」
「全てをですね」
「悪は幹を断ち切って終わりじゃないから」
 だからだというのだ。
「枝もね。全てね」
「潰しますか」
「そうするよ」
 こう言うのだった。
「全てをね」
「かなりの数の悪人に裁きの代行を行うことになりますね」
「構わないよ」
 それについてはだ。どうでもいいという十字だった。
「それが僕の仕事だからね」
「だからこそですね」
「労力は厭わない。それじゃあね」
「神のご守護があらんことを」
 神父は最後にこう言った。その言葉を受けてだ。
「うん。行って来るよ」
「ご夕食は用意しておきますので」
「晩御飯は何かな」
「ピザです」
 それだとだ。神父は答えた。
「それになります」
「そう。ピザだね」
「それと野菜のスープに。それに」
「それに。他には」
「コールドチキンもあります」
 肉もあり、だ。それはそうしたものだというのだ。
「枢機卿は鶏肉もお好きでしたね」
「うん、かなりね」
「勿論トマトもありますので」
 それも用意してあるというのだ。
「そしてパンもあります」
「パンだね」
「ワインも。赤を用意してありますので」
「神の血もまた」
「お仕事の後で共に頂きましょう」
「そうさせてもらうよ。遅くなるけれどね」
 時間はそうなると答えた十字だった。
「待っていてね」
「畏まりました」
 ここまで話してだ。そうしてだった。
 十字は携帯の電話を切りそのうえで何処かに向かった。彼が教会に戻ったのは真夜中、日が変わってからだ。教会に戻ると神父が彼を迎えた。
「お帰りなさいませ」
「少し遅くなったね」
「いえ。ただ」
「うん。服は着替えるよ」
 見れば白い学生服ではなかった。赤くなっている。それはその整った顔も手もだ。全てが赤く染まり鉄の匂いを漂わせている。
 その吸血鬼の如き姿でだ。十字は言うのだった。
「そうしてからね」
「お食事ですね」
「そうするよ。ただね」
「その服はですね」
「うん、置いておくよ」
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