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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第五十四話 帝国領侵攻
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ボス提督、どうぞ」
「ありがとうございます…アムリッツァより先には進めない…その根拠となる数字を教えて頂きたい」
「了解した。ギャバン准将、説明を頼む」
「はい…皆様、星系図をご覧下さい…仮に帝国首都まで最短距離を進撃すると仮定した場合、首都星オーディンの存在するヴァルハラ星系までまずアムリッツァ、その後主要航路上の星系としてボーデン、ヴィーレンシュタイン、シャンタウ、フレイヤ…の六つの星系を経由せねばなりません。となると当然その各星系を占領ないし鎮撫する訳ですが、その場合の作戦期間の見積りは、算定出来ませんでした」
「何だと」
「疑念はご尤もですが、変数が不確定すぎてシミュレーションでは算出できないのです。敵の戦力規模は不明、各星系に人口も不明です。これでは我々としても話になりませんので暫定条件として帝国軍が我々と同数、八個艦隊でこちらに対処した場合のシミュレーションを行いました…ご覧になりますか?あくまでも暫定的なものですので、六対四で我が軍の優勢、という設定です」
「見せてもらおう」
スクリーンにシミュレーションの結果が映し出された。…映っているその結果に、皆凍りついた様になってしまっている。
「六つの主要星系を三ヶ月間維持するのに三十億トンの物資だと…」
「はい…我が軍の兵站能力を完全に超えています。主任後方参謀としてはとても補給について責任が持てません」
「准将、何故この様な数字になるのか教えてくれるか」
「はい…。フェザーン経由の情報で、ロックウェル准将も確度には自信が持てないと仰っていましたが、主要な各星系の人口の合計は概算は少なく見積もって十億から十五億人程度と推定されます。各星系にて設置した穀物生産プラントでの小麦の生産が軌道に乗るまで最短で約三ヶ月、その期間民間人への配給を行いつつ艦隊への補給も行う、という条件の下で算出された数字です。しかも主要航路上の六つの星系を占領した場合ですので、他の恒星系も占領目標として組み込まれた場合は…想像できません。アムリッツァからオーディンまでの最短航路近傍には最低でも二百以上の恒星系があります」
数字は正直だ。シトレ親父に文句をつけられなくても、こんな話を聞かされたら皆黙らざるを得ない。
「ちょっと待て。配給が必要なのか?現地の民間人にだって備蓄はある筈だろう」
「それはそうですが、敵に焦土戦術を採られた場合、民間人の備蓄に頼る事は出来ない、との主任作戦参謀の意見がありました。我々は我々は帝国から民衆を開放する、という立場ですので…」
「焦土戦術だと…帝国が自国の民衆に徴発を強いると言うのか」
「…その可能性も捨て切れない、とのハフト准将の意見です」
「全て可能性の話ではないか!」
ロボス親父が赤くなっている。誰かヒキガエルにそっくりだ、と言っていたな…誰だったかな…
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