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オズのボームさん
第三幕その三

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「それが出来るんだよ」
「そうなんだね」
「その顎と牙の前には殻もものではない」
「そういうことだね」
「だから殻があっても平気で」
「食べられるのね」
「うん、それで殻は噛み砕いて消化出来るよ」
 そのまま食べてというのです。
「僕達はね」
「胃も丈夫なんだ」
「それも凄いわね」
「蟹の殻はとても固いのに」
「それが出来るなんて」
「本当にね」
「いや、この蟹は殻も食べられるよ」 
 ここでボームさんが言ってきました。
「オズの国は不思議が一杯あるね」
「だからですか」
「蟹の殻も食べられるですか」
「そうだったんですね」
「そういえば皆さん殻も召し上がられてますね」
「そうされてますね」
「こうしてね、柔らかくなっていて」
 そしてというのです。
「食べられるよ、実際に食べてみればいいよ」
「あっ、そうですね」
「持ってると固いですが食べると柔らかいです」
「何か不思議ですね」
「それで蟹の味がします」
「殻まで」
「オズの国の蟹はじっくり煮たり蒸したらこうなるの」
 ジュリアが微笑んでお話しました。
「殻、甲羅までね」
「食べられる様になるんですね」
「そうなんですね」
「オズの国だから」
「それで、ですか」
「そうなるんですね」
「そうよ、それじゃあね」
 ジュリアはお刺身を食べつつ言います、お刺身だけでなく細かく刻んだ香草やお野菜もお皿の上に沢山あってお魚と一緒に食べています。
「殻も食べてね」
「そうさせてもらいます」
「こんなに美味しいんですから」
「てっきり食べられないと思っていました」
「腹ペコタイガーさんとのやり取りから」
「それはと」
「あれっ、僕は固いと思っていたよ」
 腹ペコタイガーはそう思っていたのでした。
「食べてもね」
「それは君が思い込み過ぎだったんじゃないかな」
 かかしが言ってきました、食べる必要のない人達は席に着いてそのうえで皆が美味しいものを食べて笑顔になっているのを見て心の栄養としています。笑顔がこの人達のこの上ない栄養になるからです。
「それでじゃないかな」
「そういえば喉越しは柔らかいよ」
「そしてお口の中でもだね」
「今は柔らかいよ」
「そうなってるね」
「うん、思い込むと」 
 それならです。
「固いものも柔らかく思えるんだね」
「オズの国では思いが強いとね」
 樵も言ってきました。
「それが現実になるからね」
「そうしたところはあるね」 
 ボームさんも言います。
「固いものを柔らかいと思う位はね」
「食べるものだとあるね」
「そうだね、思いの強さは」
 それはといいますと。
「お伽の国では大事だからね」
「そうだよね」
「うん、だからね」
 その為にというのです。
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