暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【下】
六十四 遭遇
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
黒炎。

燃え盛る炎が海を奔る。
迸る炎は水に濡れても猶消えず。標的を焼き尽くさんと渦巻き続ける。
その対象である八尾の断末魔が雲雷峡にて轟いた。


黒炎の中、のたうち回る蛸の化け物。
ザクの死を代償に吹き飛んだ蛸足が二本ほど、沈下してゆく。
しかしそれ以外の蛸足だけでも、十分すぎるほどの破壊力があった。


その威力は、蛸足が粉々に砕く周囲の岩々を見れば一目瞭然。
そして八尾が耐え切れず暴れるということは、それだけサスケの瞳術で出現した黒炎の威力が窺えた。


水に濡れてもどれだけ暴れても、決して消えぬ黒き炎。
それに焼かれる苦痛にのたうち回るキラービーが暴れるたび、巻き上がる凄まじい威力の水飛沫。


それは激しい高波となって、サスケとアマルへ襲い掛かる。
既にキラービーに大きな痛手を負わされ、身体を抉られているに加え、初めて【天照】を使ったばかりのサスケには、たかが高波ですら脅威だった。


波の影がサスケの頭上に落ちる。
荒波に呑まれるその寸前、自身が現在纏う衣と同じモノを身に着けた男の背中が、サスケの霞む視界に飛び込んだ。



「おやおや…」

刹那、高波がスパッと割れる。
真っ二つに割れた波間。サスケとアマルの傍らで、大刀を振り落とす。
黒地に赤き雲の衣が、水滴ひとつつけずに棚引いていた。

「随分とまぁ…やられましたねェ」


鮫肌で波を斬った鬼鮫が肩越しにサスケを振り返る。
キラービーのラリアットを喰らい、身体の胸部を深く抉られたサスケを目にした鬼鮫は、一瞬瞠目すると、己の大刀を促した。

「鮫肌。治しておやりなさい」



すると包帯で巻かれた大刀がわさわさと蠢き、サスケに纏わりつく。
動く刀に、ヒッ、と息を呑んだアマルが一瞬後退りするものの、サスケの負傷部分がみるみるうちに治癒されてゆくのを目の当たりにすると、気を取り直した。

鮫肌と呼ばれるこの生きる刀がサスケの抉られた身体を治しているのだと理解した彼女は、少しでも治癒しやすいように、と衣を脱がせる。
『暁』の証である黒衣を脱がせ、鮫肌が治癒しやすいようにしているアマルを認めた鬼鮫が助言した。


「その刀は斬るのではなく、チャクラを削り喰らう。ですが私のチャクラをサスケくんに分け与えるわけにもいかないので…」
「わかってる」

黒炎でのたうち回る八尾から視線を外さない鬼鮫を見て、アマルが察する。
キラービーとの戦闘をするなら、鬼鮫にはチャクラを温存してもらわねばならない。
ならば鬼鮫が削ったチャクラをサスケに分け与える役目を担うのは───。

「オレも医者の端くれだ。オレのチャクラを喰え」


医療忍者ではなく、あくまでも医者だと名乗るアマルからチャクラを喰
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ