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報い
第七章

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「若し命を落としていたら」
「そうね、あの時の貴女もね」
「病院に担ぎ込まれていなかったら」
「貴女は死んでいたら」
「私は加害者で報いを受けてだったけれど」
 自分のいじめをしていた過去、その時のことを思い出しつつ言うのだった。
「それでも命を落としていたら」
「今こうして活動出来なかったわね」
「絶対にね。それで私よくわかるの」
 如月は弥生に俯いたまま話した、今は職場のオフィスの休憩室で向かい合って共に紅茶を飲みつつ話している。
「あの娘達のことが」
「加害者だったから」
「私もあの娘達もね」
「許されないことをしても」
 いじめ、それを行ってもというのだ。
「それでもね」
「救えるのなら」
「私が救われたから。あの時の病院の人達に」
 如月は俯けさせていた顔を上げた、そして弥生の顔を見て話した。
「そして弥生がいてくれなかったら」
「救われなかったのね」
「そうだったわ、いじめをしたらどうなるか」
「身を以て知って」
「そこから救われたのは」
「私もいたからなの」
「そうよ、だからあの娘達が更正出来て」
 そうしてというのだ。
「元の生活に戻れる様に」
「手助けしたのね」
「そうなの、あの娘達のところに行って」
「如月と同じだったから」
「加害者だったから」
 いじめのというのだ。
「そうしたの。それでね」
「ええ、あの娘達は大丈夫ね」
「もうね。そう思うわ」
「貴女のお陰ね」
「ええ、いじめは許されないことでも」
「誰が許すのか」
「神様じゃないかもって思うから」
 如月は自分の考えも述べた。
「だからね」
「それでなのね」
「私はこれからもここで働かせてもらって」
「貴女みたいな子を助けていくのね」
「そうしていくわ。いじめをしても相手の子が命を失っていないなら」
「まだ救われるのね」
「反省して心を入れ替えれば」
 その時はというのだ。
「救われていいと思うから」
「貴女がそうだった様に」
「これからもね」
「活動していくのね」
「そうするわ」
 こう言ってだった。
 如月は今の仕事に戻った、今度もまた加害者であった。加害者でも苦しんでいる者達の為に動いていくのだった。


報い   完


                  2022・5・18
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