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報い
第三章

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「この度は学校に連絡をしまして」
「それで、ですか」
「私達のところにですか」
「来られたんですか」
「そうですか」
「はい」
 如月は四人に微笑んで答えた、クリーム色の膝までのタイトスカートの清潔なスーツが実によく似合っている。
「そうです」
「あの」
 遥が如月に尋ねた。
「私達にですか?」
「そうです」
 如月は遥の問いに答えた。
「その為にこちらに来させてもらいました」
「あの、私達加害者で」
 彩香も怪訝な顔で言った。
「今にも訴えられそうで」
「退学にもなりそうなんですが」
 柚佳も言った。
「そんな私達にですか?」
「日本中から抗議されて親からも見捨てられてるんですが」
 最後に葵が言った。
「そんな私達ですが」
「だから来ました」
 如月は四人に毅然とした声で答えた。
「そうなのです」
「意味がわからないですが」
「いじめの相談とかケアって被害者の子にしますよね」
「加害者にはしないですよね」
「加害者はばれたらサンドバックですよね」
「いじめに関わっているのは事実です」
 如月は四人に答えた。
「ですから」
「加害者でもですか」
「それでもですか」
「私達にですか」
「相談をしてくれるんですか」
「関わっていることは事実なので」
 被害者でも加害者でもというのだ。
「何でもお話して下さい」
「そうですか」
「じゃあお願いします」
「お話させてもらいます」
「私達がしたことも」
「今の状況もお話して下さい」
 如月は四人に優しい声で述べた、そうしてだった。
 四人の話今の苦境に泣いて話すそのことを全て聞いた、そのうえで言った。
「貴女達がしたことは消えないです」
「いじめのことは」
「そうですよね」
「どうしても」
「はい、許されないことです」 
 こう言うのだった。
「やはり。ですが」
「ですが?」
「ですがといいますと」
「蜘蛛の糸というお話がありますね」
 如月は芥川龍之介の代表作の一つのタイトルを出した。
「そうですね」
「あのお話ですか」
「地獄に堕ちた悪人に仏様が救いの糸を垂らす」
「あの童話ですね」
「あの童話の様なことは誰にあってもいいです」
 救いの手が差し伸べられることはというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「私達にですか」
「城崎さんは来られて」
「助けて下さるんですか」
「はい、ですが反省はされましたか」
 如月は四人にこのことを尋ねた。
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