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二つの結婚指輪
第二章

[8]前話
「今ね」
「そうなんだ」
「ええ、それでだけれど」
 実夕は直哉にお茶を飲みつつ話した。
「お見合いだしね」
「ええ、それじゃあね」
「これからね」
「時間があったら会ってね」
「話そう」
「お互い地元の企業に就職してるし」
「住所もご近所だし」
 確認すればそうだった。
「それじゃあね」
「何度かお話して」
「決めようか」
「それがいいわね」
 二人はお見合いということもあり結婚を前提として交際していくことにした、そして何度も会って話をしてデートもして。
 直哉は遂に実夕にプロポーズした、休日一緒に映画館に行った後だ。
 喫茶店で彼女に結婚指輪を差し出した、そのうえで彼女に告白した。
「僕とこれから一生ね」
「ええ、私こそね」
 実夕も笑顔で応えた。
「宜しくね」
「うん、それじゃあ」
 直哉は箱に入ったうえで見せられている指輪を実夕が受け取ったのを確認した、そのうえで心から喜んだが。
 ここでだ、実夕は。
 おもちゃの指輪を出してだ、直哉に笑って話した。
「この前お部屋お掃除したら物置の奥にあったの」
「あの時の指輪かな」
「輪投げの景品のね」
「あの指輪なんだ」
「あの時指輪を貰うって意味はわかっていなかったけれど」 
 実夕は向かい合って座る直哉に笑顔で話した。
「あの時からね」
「僕達はなんだ」
「結婚することが決まっていたのかもね」
「幼稚園の時から」
「だからあの時会って」
 夏祭りの時にというのだ。
「貴方は輪投げで当ててね」
「指輪をあげたんだ」
「そうかもね、じゃあこれからはね」
 実夕は直哉ににこりと笑って話した。
「どちらの指輪も大事にするわね」
「そうするんだ」
「そうするわ、そうしてもいいわよね」
「そうしてくれたら嬉しいよ」
 直哉は実夕ににこりと笑って答えた。
「僕も。それじゃあね」
「ええ、これからはずっと一緒よ」
「あの時に決まっていたから」
「そうしていきましょう」
 二人で笑顔で話した、そしてだった。
 実夕は直哉と結婚した、その上で生涯二つの指輪を大事にした。そうして自分には結婚指輪が二つあると誰にでも語った。どちらの指輪も自分の宝だと。


二つの結婚指輪   完


                 2022・9・27
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