暁 〜小説投稿サイト〜
お婆さんと狼
第二章

[8]前話
 脱獄した凶悪犯達が村に近付いているという知らせが来た、それで村の男達は銃や農具で武装して身構えた。
 そして老婆の家にもだ、若い村人が銃を持ってやって来て言ってきた。
「俺が家にいるからな」
「それでなのね」
「婆さんを守ってやるな」
「悪いわね」
「こうした時はお互い様だ、ヴォルチョクもいいな」
 村人はヴォルヴョクにも声をかけた。
「一緒に婆さんを守るぞ」
「ワンッ」
 ヴォルチョクは村人に鳴いて応えた、そして夜の間用心していると。
 家の近くで物音がした、それで村人が身構えると。
「オオ〜〜〜ン」
「!?ヴォルチョク」
 老婆も村人も驚いた、いきなりだ。
 ヴォルチョクは座ったまま遠吠えをはじめた、すると。
「オオ〜〜〜ン」
「オオ〜〜〜ン」
「オオ〜〜〜ン」
 村の犬達も一斉に遠吠えをはじめた、その声を聞いてだった。
 村人達は脱獄囚達が来たと察してだった。
 一斉に銃や農具を手に懐中電灯を使って外に出てだった。
 脱獄囚達を探し出し皆捕まえた、こうしてだった。
 村の危機は去り老婆も無事だった、それでだった。
 老婆はヴォルチョクにご飯をやりながら彼に優しい笑顔で話した。
「全部お前のお陰だね」
「そうだよな」
 老婆の家に来ていた村人も応えた。
「あそこで遠吠えしてくれたからな」
「そのお陰でね」
「脱獄囚達が来たってわかってな」
「村の犬達も遠吠えで知らせてくれて」
「皆捕まえることが出来た」
「襲われないでね」
「ヴォルチョクのお手柄だよ」
 まさにというのだ。
「本当にな」
「この子がうちに来てよかったわ、家族になってくれていて」
「番犬にもなってな」
「本当によかったわ」
 老婆は優しい顔のまま言った、そしてヴォルチョクを撫でると。
 勇敢な狼は左右に尻尾を振った、その姿が何とも言えず可愛く老婆は村人と共にまた笑ったのだった。


お婆さんと狼   完


               2022・9・25
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ