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怪我をしたら安静に
第一章

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                怪我をしたら安静に
 ふわりは足を挫いた、それでだった。
 彼女の家族である国崎家の面々はすぐに彼女を動物病院に連れて行って診察を受けさせた、そうしてだ。
 捻挫と言われて数日安静にと言われた、それでだ。
 一家の主婦である百合子は家に帰ってからふわりに言った。
「あんた三日は安静だからね」
「クゥ〜〜〜ン・・・・・・」
「お散歩位はいいっていうけれど」
 獣医はそれはいいと言った。
「距離は短めにして他の運動は駄目よ」
「少し我慢してくれよ」
 一家の息子の洋介も言ってきた。
「いいな」
「クゥ〜〜ン・・・・・・」
 ふわりは二人の話にケージの中で残念そうに応えた、彼女がどう思っているかは明らかだった。だが。
 ふわりは散歩の時以外はケージから出されない様になり散歩の時もだ。
 距離は短めでかつゆっくりと歩かさせられた、間違ってもだった。
「走ったり跳んだりするなよ」
「そうしたことは駄目よ」
「歩くだけにするんだ」
「勿論泳ぐのも駄目よ」
「暫く我慢してな」
「怪我を治しなさい」
 一家の夫である文太が百合子と共にふわりに言う、それでだった。
 ふわりは言われた通りに歩くだけにした、素直な性格なのでそうしたが。
 家に帰ってだ、文太は百合子に話した。
「トイプードルだからな、ふわりは」
「活発よね」
「ああ、だからな」
 そうした種類の犬だからだというのだ。
「怪我をしていてもな」
「本当は動き回りたいのよね」
「走ったり跳んだりしてな」 
 そのうえでというのだ。
「そうしたいんだ」
「そうよね」
「けれどな」
「今はね」
「ああ、怪我をしているからな」
 捻挫しているからだというのだ。
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