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養子だから何だ
第一章

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               養子だから何だ
 工場を経営しているその家は子供がなくてだった。
 里親制度によって彼が養子に迎えられた。最初は佐藤という名前だったがそれが金森になってだった。
 修三はその家の子供になった、彼は実の両親のことは知らないが義父母には非常に優しく育てられた。
 一歳で養子になって三年後だった。
 両親の間に娘が生まれそれから一年後だった。
 また娘が生まれた、そしてそこから四年後にだ。
 息子が産まれた、だが両親は彼に笑顔で言った。
「長男はお前だぞ」
「あんたは私達の子供よ」
「四人皆わし等の子供だ」
「そのことは覚えておいてね」
「う、うん」
 修三は膨らんだ感じの色白の顔の大柄な少年に成長していた、目は細く黒髪を左で分けている。足は遅いが力は強くなっていた。
 高校から大学にまで神学させてもらった、その間妹達とも弟とも分け隔てなく育ててもらってだった。
 兄弟仲もよかった、だがそれでもだ。
 修三は内心自分が養子であることに思うところがあった、それは誰にも言わなかったが。
 やはり思っていた、そんな中で。
 就職し働く中で優しい顔立ちをして白髪頭の小柄な父の大作に言われた。
「わしももう歳だからな」
「それでね」
 垂れ目で優しい顔立ちで黒髪を短くしている母の実加も言ってきた。
「あんたが工場継いでくれる?」
「社長になってくれるか?」
「社長って。僕あれだよ」
 修三は二人の言葉にどうかという顔で答えた。
「養子だよ」
「だからか?」
「跡は継がないの」
「沙都美も芳香も結婚してね」 
 母の若い頃そっくりの妹達を見て話した、上の妹は黒髪をロングにしていて下の妹は胸までの高さでポニーテールにしている。
「旦那さんいるしそれに雄吾がいるじゃない」
「俺?」
 大学生の父親そっくりの顔の小柄な彼が応えた。
「俺が工場継ぐんだ」
「そうだろ、お前が実の子なんだし」
「いや、俺大学生だけれどもう仕事あるじゃない」
 弟は兄にこう返した。
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