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フェアリーテイルに最強のハンターがきたようです
第10章 アルバレス帝国編
第54話 のべつ幕なし
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首都クロッカスからマグノリアへと向けて空を翔るアクノロギア…。そんなアクノロギアの後を追うようにして同じように空を翔るアレンは、先ほど感じた『昼虎』よりも圧倒的な力の波動を感じ取り、大きく目を見開く。
それは、古文書にのみ記された、知識のみのモノであったが、それが何の波動であるのか、一瞬で理解知るに至る。
「くっ…これは、まさか…最後の死門を…っ!」
アレンは今までにない苦悶の表情を浮かべ、唇を噛みしめる。…エルフマンという男は、普段は『漢!』と叫び散らかしている者であったが、そのエルフマンがどれだけ家族思いで仲間を大切にしているのか、アレンは痛いほどに知っていた。8年前の幼少期の時も、1年半ほど前の修行期間中も、その思いは変わらないどころか更なる強さを有していた。
だからこそ、アレンはそんなエルフマンの願いを…立派な魔導士になりたいという願いを、家族や仲間を守りたいという願いを叶えるために協力を惜しまなかった。
…そんな中でエルフマンに伝えたのが、禁じられた膂力魔法である『八門遁甲』。アレンの推察からして、この魔法を扱うのにもっとも長けた人間は、エルフマンであると感じていた。…しかし、それがこの誤算を生じさせる。
「…会得したというのか…っ!俺でも6門までしか開けなかったあの八門遁甲を…っ!」
アレンは、自身が会得し得なかった魔法を、エルフマンが会得できるとは考えていなかったのだ。自身が会得しようとしたからこそわかる、この魔法の圧倒的な会得難易度…。
アレンは大抵のことは努力と根性で解決してきた。それこそ、数多の強敵との戦いのために、血反吐を吐く思いでだ。そんなアレンをもってしても、『努力で会得できる魔法だが、努力だけでは不可能』と言わしめた魔法なのだ。
「努力の…天才か…。いや、端然たる天才…」
アレンはエルフマンに称賛の言葉を浴びせるも、その表情は暗いものであった。…知っているからである…。この魔法の、圧倒的力に反する…そのリスクを…。
アレンはそれを頭の中で反復しながら、酷く小さくなってしまっているアクノロギアの背を追いかけるようにして、マグノリアの街へと向かっていた。

先ほどまで、圧倒的な赤き竜を象った魔力の猛攻撃の喧騒を見せていたマグノリアの街は、酷いほどの静けさを生んでいた。
そんな街に響き渡るのは、複数人が足早に駆ける音と、息を荒げるような音のみであり、一切の声が聞こえない。
そんな集団は、一つの場所を目指して走り出し、目的の人物の近くへと到着を果たす。何人かが足を止め、その場に立ち尽くすようにして見せる。その顔には驚愕の表情が浮かび、視線は地面へと向いていた。
そんな中、2人の女性が地面へと転がる真っ黒な物体へと膝を着き、見つめる。そして、大粒の涙を流しながら感情的な声を張り上げる。
「エルフマンッ!!!
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