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Fate/WizarDragonknight
邪神降臨
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 満天の夜空。
 雲海を突き破り、満月の夜空にそれは現れた。
 大きな翼を広げた、天女。見る者の息を奪うようなそれは、空を泳いで移動する。
 ゆっくりと、音もなく。あたかも水の中を泳ぐそれは、雲を切って進んでいく。
 サーヴァント ムーンキャンサー。
 新条アカネが召喚した、第二のサーヴァント。
 それは、マスターである新条アカネを求めて、見滝原の上空を泳いでいく。
 見滝原と呼ばれる街を見下ろすムーンキャンサー。その特異なる出自を持った身体能力は、ムーンキャンサーに最強の五感を与えてくる。

「待って!」

 その後を追いかける、三つの光。
 ムーンキャンサーは、静かにそれに振り向いた。
 紅、桃、黄の光。
 それは自らと同じ、聖杯戦争の参加者。クラスも名前も知る由のない参加者。
 祭祀礼装、満開、絶唱。
 それぞれが用いる最大戦力で、三人の参加者はムーンキャンサーに相対しながら宙に浮いていた。

「あなたは……一体何?」
「これは、参加者なの?」
「ムーンキャンサー……っ!」

 三者三様の反応を見せる参加者達。
 唯一、ムーンキャンサーを知るのは、花びらを舞わせ、巨大な腕の装備を持つサーヴァント、セイヴァーである勇者。
 そして、残りの二体の敵を睨み、その正体も理解した。
 セイヴァーのマスター。その正体は刀使であると、聖杯によりインプットされた知識が語る。
 もう一人、白と黄の姿を持つランサーのサーヴァント。奏者と呼ばれる、自らの出自にも通じる聖遺物と呼ばれるものの力。
 勇者へ、二人の参加者は目線を向けている。

「友奈ちゃん、アイツのこと何か知ってるの?」
「……昨日、戦ったんだよ。トレギアのマスターを取り込んでいたけど、助けて今はわたしたちの家にいるはずなんだけど……」
「トレギアのマスター!?」

 えその言葉に、強く振り向く刀使。
 だが、それ以上、彼女たちの会話を許す道理はない。
 ムーンキャンサーの触手より放たれた超音波メスが、彼女たちの会話を斬り落とす。

「とにかく、まずはアイツを止めよう……!」

 刀使は白い衣装を振り払う。
 巫女服を思わせる形をしているのに、どこにその力があるのだろうか。超音波メスは裾に阻まれ、霧散していく。

「よし……! 祭祀礼装なら、アイツの攻撃も防げる……!」

 刀使はさらに、ムーンキャンサーへ接近してくる。三人の中で特にスピードに秀でた刀使は、そのままその赤い刃を振るう。

「迅位斬!」

 無数の触手を掻い潜り、ムーンキャンサーの身体へ赤い斬撃を放った刀使。彼女のその斬撃は、ムーンキャンサーの動きを鈍らせたが、それはほんの少しだけ。
 ムーンキャンサーはすぐさま、胸元にいる小さな刀使を見下ろす。無数
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