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子牛が似ているもの
第二章

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「父上といい他の神々といいな」
「我等人間もそうですが」
「神々もですね」
「そこは同じですね」
「悪戯が好きで美しい女や男と見れば手を出す」
 それも見境なくだ。
「すぐにかっとする、そう言うとわしもだが」
「神々も人間もですね」
「そこは同じですね」
「全く以て」
「心はな」
 こう言うのだった、だがミノスはまず我が子だとわかった牛を王宮に入れてその様に扱ってだった。
 そうしてクレタだけでなくギリシアやエジプトにまで触れを出して一日のうちに白、赤、黒と色が変わる牛が何に似ているか答えられる者を探した、その際多くの褒美も約束したが。
 誰も答えられない、それでだった。
 ミノスは悲しそうな顔になっている子牛の姿の我が子を見て話した。
「安心せよ、必ずだ」
「モウ」
「そなたを助けるからな、だが誰が知っているのだ」 
 王は困り果てた顔で述べた。
「今のそなたが何に似ているか」
「王よ、グラウコス様のことですが」 
 ある廷臣がここで言ってきた。
「今島にポリュエイドス様が来られまして」
「あの高名な占い師で賢人のか」
「あの方が、そしてです」
 廷臣はミノスにさらに話した。
「あの方が言われるにはです」
「まさかと思うが」
「そのまさかです」
「グラウコスが何に似ているかだな」
「ご存知とのことです」
「そうか、ではだ」
「ポリュエイドス様をですね」
「ここに呼ぶのだ」
 ミノスは廷臣に告げた、そうして黒く長い髭と青い目を持つ老人を自身の前に連れてこさせた。老人はここで名乗った。
「ポリュエイドス、占い師をしております」
「そうだな」
「そしてこの度はです」
「子牛に変えられた我が子が何に似ているかわかっているそうだが」
「はい」
 ポリュエイドスは一言で答えた。
「私は」
「そうか、では聞く」 
 ミノはポリュエイドスに玉座から問うた。
「今の我が子は何に似ておるのか」
「桑です」
 ポリュエイドスは微笑んで答えた。
「桑の実です」
「桑の実か」
「はい、そちらです」
「何処が似ているのだ」
 ミノスはポリュエイドスの言葉に首を傾げさせた、何故牛と桑の実が似ているのか全く分からなかったからだ。
「大きさも形もだ」
「全く違いますね」
「それでどうして似ているのだ」
「色です」
 ポリュエイドスはそれだと答えた。
「今の王子様の色です」
「身体の色か」
「一日の間に白、赤、黒と変わるのですね」
「そうだ、今は白いがな」  
 丁度そこにいる子牛の姿の我が子を見て述べた、見れば今も悲しい顔をしている。
「それが徐々にな」
「赤くなりですね」
「黒くなる、そして朝になるとだ」 
 その時はというのだ。
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