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三つのシトロン
第四章

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「そうなのです」
「そうか、なら仕方がないな」
 チェンツッロは女の肌の色が変わったことに落胆しつつ頷いた。
「そなたの白と赤の肌が好きだったのだが」
「そうでしたか」
「しかしそなたはそなただ」
 このことは変わりないと言うのだった。
「構わない、国に帰ろう」
「それでは」
 こうしてだった、王子は彼女を連れて勲位帰り。
 出迎えた両親に全て話した、二人は王子の見聞が旅で広まったことも妻を見付けたことも喜んだが。
 肌についてはだ、こう思った。
「おかしいな」
「そうですね」
「そんな魔法あるのか」
「聞いたことがないですが」 
 このことを節ぐに思ったがだった。
 二人は王子の成長も見て彼に王位を譲ってだった。
 彼と妖精の結婚式を行うことにした、その時本物の妖精はというと。
 鳩に姿を変えられどうしていいかわからず一人森の中で隠れて泣いていた、だが。
 そこにフォウレンの使い魔だった黒猫が来てこう言った。
「ずっと見ていたけれど見ていられないから助けるよ」
「貴方は一体」
「あんたを鳩に変えた魔女の使い魔だったんだ」 
 黒猫は自分のことを素直に話した。
「けれどあの人の悪事に我慢出来なくてね」
「それでなの」
「諫めたら追い出されたんだ」
「そうだったのね」
「それであの人とはもう縁がないしね」
 それでというのだ。
「あんたを助けるよ」
「そうしてくれるの」
「誰でもいいことをしないと駄目だよ」
 黒猫はこうも言った。
「だからね」
「助けてくれるのね、私を」
「そうさ、今からあの王子様の匂いを辿ってあの人の国に行こう」
 猫だが使い魔で魔力を持っていてだった。
 鼻もいい、黒猫はそれを使ってだった。
 鳩をチェンツッロの国に案内した、そして。
 チェンツッロの即位と結婚式の祝宴で大忙しの城の厨房の窓に一緒に来た、ここで黒猫は鳩の姿の妖精に話した。
「料理人の人達に歌おうよ」
「どう歌うの?」
「あんたその姿でも人間の言葉が喋れるね」
「ええ、変えられたのは姿だけよ」
「だったらだよ」
 それならと言うのだった。
「人間の声で歌うんだよ」
「そうするのね」
「新しい王様にプレゼントをしたいとね」
「歌うのね」
「そうすればいいよ、そしてそのプレゼントはね」
 黒猫はさらに話した。
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