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日本の北と南で
第一章

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                日本の北と南で
 鹿児島の鹿児島市から青森の津軽に父の仕事の関係で引っ越してきてだった、三井礼子は転校した小学校でクラスメイトになった武藤幸にいきなりこう言われた。
「あんた喋り使いおかしいわよ」
「えっ、それあんたもよ」
 礼子は幸にこう返した、礼子は黒髪は短く日焼けした肌で目は大きい。やや小柄だが随分健康的な感じだ。
「物凄いずーーずーーした感じで」
「何言ってるのよ、あんたの言葉ごつ過ぎるでしょ」
 礼子は威勢のいい感じの顔で背は高めだ、赤髪を後ろで束ねている。
「鹿児島ってそんな言葉なの」
「そうだけれど津軽も?」
「こっちがこれが普通よ」
「鹿児島だってそうよ」
「あの、先生から見ればね」
 担任の若い女性である上田桜黒髪を奇麗に伸ばし楚々とした風で沢庵型の眉を持ち一五七程の背ですらりとしたスタイルの彼女が二人の間に入って来た。
「二人の言葉もちょっとね」
「あっ、先生名古屋でしたね」
「大学がこっちなのよ」
 桜は幸に応えて話した。
「だからお仕事もね」
「こっちなんですね」
「そうよ、鹿児島の言葉も津軽の言葉も」
 どちらもというのだ。
「難しいわ。難しいのは同じだから」
「だからですか」
「言い合わないの。言葉はそれぞれだから」
 桜はこうも言った。
「喧嘩しないでね」
「わかりました」
「そうします」
 二人共性格は素直なので担任の先生の言葉に従った、こうして喧嘩はせず。
 礼子は明るく闊達で前向きな性格でありそれがクラスメイト達にすぐにわかってだ。
 クラスに入ることが出来た、そんな中でだ。 
 桜がホームルームの授業で生徒達に自分の尊敬する人を聞いた時だった。
 幸は太宰治と言った、そして。
「あんた西郷隆盛さんなの」
「うん、尊敬する人はね」
 礼子はすぐ近くの席の幸に答えた。
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