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最初は一緒に仕事しただけなのに
第一章

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                最初は一緒に仕事しただけなのに
 稲田鴎外は今同期の備前芙美子と組んで仕事をしていた、稲田はやや細面で鋭い目と引き締まった尖った感じの口元に黒髪を後ろに撫で付けた一八三位のすらりとした長身の持ち主だ。
 芙美子は一七〇程ありスタイルはよく茶色い髪の毛をロングにしている、切れ長の大きな目と互角系の顔に大きな薄い唇と西洋人の様な高い鼻を持っている。
 芙美子は稲田一緒に会社の中で荷物を運んでいたが。
 ここでだ、芙美子はこんなことを言った。
「あんた力持ちね」
「そっちこそな」 
 稲田は芙美子にこう返した、見れば二人共段ボールに入ったものを前に持って歩いている。
「それ重いだろ」
「大丈夫よ、これ位何でもないわ」 
 芙美子は笑って返した。
「だってジムに通っているから」
「だからか」
「身体動かしてるからね」
 それでというのだ。
「これ位はね」
「何でもないか」
「平気よ」
 笑っての返事だった。
「本当に」
「それは何よりだな」
「そう言うあんたもね」
「ボートしているからな」
 稲田は何でもないという返事で応えた。
「アルバイトでずっと酒屋で働いていた」
「そうなのね」
「だからこれ位はな」
「何でもないの」
「俺もジムに通っているしな」
 自分もとだ、稲田は芙美子に答えた。
「だからな」
「何処に通ってるの?」
「そこはな」 
 今度はジムの話もした、そしてだった。
 その他の話もしてだ、ものを運んでいった。
 ある時はパソコンで仕事をしていたが。
 稲田は隣の席でパソコンにデータを入れている芙美子に言った。
「文章は書いたからな」
「それやってくれたの」
「お前がデータを入れてる間にな」
「あんたの仕事もあったでしょ」
「俺の仕事は終わったからな」
 それでというのだ。
「やっておいた」
「そうなのね」
「ああ、そしてな」
 それでと言うのだった。
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