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捨てるパン
第二章

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「修行中からな」
「そうなんだな」
「本当にどうしたものだろうな」 
 父は難しい顔で述べた。
「一体な」
「出来ればパン捨てたくないな」
「ああ、何とかならないか」
「困るよな」
 父ともこう話した、そしてだった。
 一家で残ったパンは夕食のおやつにしたり酒のつまみにしたりもしたがどうしても捨てるしかない時もあった。
 それでそうした時は残念に思っていたが。
 ある日だ、敏夫は休日趣味のゲームの合間にだった。
 気分転換に散歩をしていると犬に飼い主がおやつにパンをやっているのを見た、彼は犬にパンはあまり、と思ったが。
 ふと閃いてだ、家に帰って両親に言った。
「捨てるパン細かくして魚の餌に売るか?」
「そうするか?」
「これからは」
「さっき散歩した時犬に飼い主の人がパンやってるの見てな」
 それでというのだ。
「ふと思ったんだよ」
「捨てるならか」
「パンをそうして売るのね」
「ああ、そうするか?格安でな」
 値段の話もした。

「どうせ捨てるなら安く売ってもいいだろ」
「半額以下でもな」
「それでもね」
「そうしようか」
 こう両親に話してだった。
 一家で捨てるパンを軽く工夫して魚や鳥他の小動物の餌用に売り出した、すると。
 それはそれで売れて捨てるしかないパンは全てではないが結構売れる様になった、それで敏夫は笑顔で話した。
「工夫してな」
「捨てるしかないパンも売れる様になったな」
「そうよね」 
 両親は息子の言葉に笑顔で応えた。
「よかったわ」
「安いが捨てるよりずっといい」
「売れて食べてもらえるなら」
「それに越したことはないな」
「そうだな、閃いてよかったよ」 
 散歩の時にとだ、敏夫は言った。
「本当に」
「ああ、じゃあこれからもな」
「残ったパンはそうして売っていきましょう」
「捨てる位ならな」
 こう言うのだった、そしてだった。
 敏夫は両親と共に捨てるしかないパンを魚や鳥や小動物の餌に加工して格安で売っていった、そうして捨てるものを減らすことが出来てよかったと思いつつ店をやっていくことが出来た。街角の些細な話である。


捨てるパン   完


                   2022・8・22
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