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イベリス
第六十三話 夏が近付く中でその七
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「出来る筈がないんだよ」
「だから馬鹿な親から馬鹿な子供が出来て」
「どんな教育受けてきたんだって思うと」
「親が碌でもない」
「そんなケースが殆どなんですね」
「そうだよ、人間の屑もね」 
 部長はあまりにも人格が酷い輩をこう呼んだ、事実こうした輩は何時でも何処でも存在しているものだ。
「人間は最初完全な真っ白だからね」
「何か授業でも言ってましたね」
「サルトルでしたね」
「タブラ=ラサですね」
「人は誰でも最初は真っ白ですね」
「白紙だよ、その白紙にね」
 まさにそこにというのだ。
「書かれていってね」
「性格も決まるんですね」
「いいことを書かれるといい性格になって」
「悪いことが書かれると性格が悪くなる」
「そういうことですね」
「そうしたものだからね」
 真っ白な状況に書かれることによって形成されるというのだ。
「だからね」
「最初から人間の屑なんていないですね」
「少なくとも赤ちゃんの時はですね」
「人間の屑じゃないですね」
「産まれた時から悪人なんてね」
 それこそというのだ。
「絶対にないよ」
「後で善人にも悪人にもなる」
「そういうことですから」
「最初から人間の屑なんてこともですか」
「ありませんか」
「うん、ヒトラーやスターリンだってその人生でだよ」 
 二人の悪名高き独裁者達もというのだ。
「ああなったからね」
「ヒトラーは画家志望で本を読んだり色々聞いて反ユダヤ主義になったんでしたね」
「スターリンは父親に虐待されて共産党に入ってで」
「それで、ですね」
「それぞれですね」
「独裁者になっていますね」
「そうだよ、だからね」
 部長は部員達に話した。
「そうしたことを見ると」
「あんな独裁者達でもですね」
「最初からああじゃないですね」
「決して」
「最初はあの二人も真っ白ですね」
「サイコ殺人鬼でもだよ」
 そう言われる者達でもというのだ。
「それぞれおかしな影響受けてだよ」
「殺人鬼になるんですね」
「頭がおかしい」
「そうしたのになるんですね」
「そうだよ、だって赤ちゃんが立てる様になってだよ」
 成長してというのだ。
「すぐに人を殺そうとするかな」
「それもないですね」
「絶対に」
「そう考えると」
「独裁者もサイコ殺人鬼もですね」
「最初はですね」
「真っ白だよ。後の人生でそうなるんだよ」
 独裁者にもサイコ殺人鬼にもというのだ。
「逆に聖人とか君子とか言われる人もね」
「跡の人生で決まるんですね」
「そうなるんですね」
「人生で」
「学者さんになるのもスポーツ選手になるのもね」
 部長は職業の話もした。
「同じだよ」
「そうなんですね」
「人生ですね」
「それ次第になるものなん
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