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星河の覇皇
第八十一部第四章 一日のうちにその四十三

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「そうでしたね」
「共和制ローマが限界を迎えていた時だったな」
「その時に頭角を現わしていったな」
「借金王にして好色家にして」
 連合ではカエサルはこの二つがクローズアップされる、言うまでもなくローマ帝国というキリスト教や異民族を弾圧した悪の国の創始者としてだ。連合ではローマ帝国もそうした国とされていて教育もされているのだ。
「そして戦略家であり」
「政治家であったな」
「最も重要な要素は政治家でしょう」
「カエサルにとってはな」
「確かに軍事も優れていたが」
 キロモトもこのことは認めた。
「しかし軍事よりもな」
「政治に長けていました」
「それがカエサルだったな」
「そうしてです」
「その政治的な資質を以てな」
「ローマの権力を掌握し」
 終生独裁官にまでなった、後は皇帝かとさえ言われたところで暗殺されてしまい後はオクタヴィアヌスの話となる。
「ローマを改革しました」
「そうなったな」
「はい、それを見ますと」
「カエサルも然りだな」
「そしてブラウベルグもです」
 連合にとっては最も忌まわしい歴史上の人物だ、エウロパを救ってこの国を宇宙に進出させて今に至らせた人物としてだ。
「彼もまた」
「その当時の連合に押されていてしかも混乱状態にあったエウロパでな」
「頭角を現わし」
 アッチャラーンはさらに話した。
「そして総統にもなり」
「エウロパを立て直してな」
「今のエウロパの基礎を築きました」
「忌まわしいことにな」
「あの男がいなければ」
 アッチャラーンの声も顔も忌々し気だった、それはキロモトもだ。
「まことにです」
「エウロパはあのまま衰退してな」
「どうにもならなくなっていましたが」
「その時に出てな」
「連合との政治的抗争にも勝利し」
「そしてだったな」
「ヨーロッパ大陸ごと宇宙に出て」 
 勿論資源も持って行ってだ、彼は銀河に旅立ったのだ。
「そうしてでした」
「今のエウロパ領に入ってな」
「今のエウロパに至りますので」
「千年前のあの男に我々は今も苦しめられている」
「そして今は」
「そのブラウベルグの様なな」
「英雄が出たということです」
 エウロパにというのだ。
「忌まわしいことに」
「その通りだな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「我々は対外的には」
「エウロパはこれ以上に用心しなければならない」
「はい、忌まわしいことに」
「あの国をどうにかしたいが」
「国力は圧倒していますが」 
 人口は四十倍、一人当たりの総生産は十五倍だ。ここから連合の国力差はエウロパの六百倍であるとされているし実際にそれ位の開きがある。
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