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少女は 見えない糸だけをたよりに
14-2

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 日曜日に巧のマンションに行くと、珍しく、床を拭いて掃除をしていた。

「あーん 私が来るまで待ってたら、手伝ったのにー」

「いいんだ これっくらい それより 香波 話がある 座って」

巧は急に、改まったから、私、この前、ちょっときつい言い方してしまったから・・

「式のこと コロナ禍で今、大変だろう 簡単に集まりも出来ない 特に、僕は、公務員なんだ 私的にそんなことしたらダメだと思う 出席する人も躊躇するよ だから、様子見で延期しようと思う」

「えー 結婚も・・嫌だー そんなの 私、ずーと夢見て待っていたのに・・」

「いや 結婚はする ちゃんと籍も入れる だけど・・披露宴は出来ない それは、様子見てな」

「だったら 式だけは挙げてよー 二人だけででも・・」

「わかった 披露宴は延期だよ わかってくれたな」

「うん でも良いよ お父さん達に話す でもね・・この前 お父さん達は平安神宮でって 私の白無垢姿 楽しみなんだって お父さん達の夢を叶えてくれって言われたの だから、巧 お願い 式だけで良いから、お父さん達の気持ちもわかってー」

「うーん しょうがないかなー 揉めたくないしなー じゃぁ ウチの実家の家族と香波の家族だけにして 挙げるかー」

「うん ありがとう じゃぁ それで話すね お父さん達に」

「それと、二人の新居 借りることになると思うけど、香波は仕事続けるだろー? 通勤はどれぐらい離れても、大丈夫かなー」

「うーん 7時までだから、電車、バスでも1時間が限界かなー 出来れば、自転車で通えるところがいいけど・・」

「そーだよね 僕だって 1時間が限界だよ 家賃との兼ね合いがあるけどな まぁ それで、探すよ あんまり、汚いところに香波を住まわすわけにいかないものなー 帯屋さんのお嬢様なんだから・・」

「巧! そーいう言い方 やめてよね 怒るよ 私は、真っ黒になって岩場の間を飛び跳ねていた田舎の島の女の子なんだから」

 家に帰って、お父さん達に話すと、最初は渋っていたが、仕方がないなと、結局、式だけを平安神宮で挙げて、両方の家族だけの出席とした。だけど、お母さんが、ごねて、打掛姿も見たいというので、写真だけ、白無垢のと打掛のとを撮ることになったのだ。
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