暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第二十六話 待ち受ける者
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
イフス大将です。出頭致しました」
「ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ大将であります。同じく出頭致しました」
私達の言葉に軍務尚書が頷いた。

「うむ、ご苦労である。此度来て貰ったのは他でもない。今回イゼルローン方面の防衛体制に変更が入った。新たにイゼルローン方面軍を編成しイゼルローン要塞、駐留艦隊を一元的に指揮する事となった」
「はっ」
噂通りだ。となると方面軍司令官にグライフス、副司令官に私か。

「イゼルローン方面軍司令官にグライフス大将、副司令官にメルカッツ大将。グライフス大将は要塞司令官を、メルカッツ大将は駐留艦隊司令官を兼任してもらう」
「はっ」

確かに上手い手だ。これまで一元化について受け入れられなかったのは司令官職が一つ減るからだった。しかし上に統括する職を設けるなら司令官職が減ることは無い……。その上で兼任させることで要塞司令官と艦隊司令官の序列を付けるわけか……。

「方面軍司令部には参謀長の他、作戦、情報、後方支援担当の参謀をそれぞれ二名送る」
意外な言葉だ、思わずグライフスと顔を見合わせた。彼も驚いたような表情をしている。方面軍参謀は要塞司令部、駐留艦隊司令部が務めるのではないのか……。

私達の驚きが分かったのだろう、シュタインホフ統帥本部総長が低く笑い声を上げた。
「驚いているようだな。だが方面軍司令部を要塞司令部、駐留艦隊司令部が兼任するのでは彼らの不和が方面軍司令部に持ち込まれるだけだ、それでは指揮の一元化の意味がない」

「要塞司令部と駐留艦隊司令部はこれまで通り、同格の司令部として存在する。イゼルローン方面における防衛方針は方面軍司令部が決定し、要塞司令部と駐留艦隊司令部はその実行組織という事だ。それなら要塞司令部と駐留艦隊司令部の不和がイゼルローン要塞防衛に影響を与える事はかなり軽減できるだろう」

「……それはそうですが」
グライフスが困惑した声を出した、視線は私に向けている。グライフスの気持は分かる、実際に指揮を執る我々の立場は極めて微妙だ。むしろイゼルローン方面軍司令部は司令官、副司令官も別に選ぶべきではないのか……。

「卿らの不安は分かる。卿らは司令官職を兼任する事になる。何かと遣り辛い所はあろう。しかし卿らの後ろには我らが居る事を忘れないで欲しい。我らは何時でも卿らの力になるつもりだ」
我々の不安を拭うかのように軍務尚書が言葉を出した。叱咤するでもなく励ますでもない、訴えるかのような口調だ。

ここまで言われては抵抗は出来ない、そう思っているとグライフスが私に視線を向けた。眼がどうするかと問いかけている、或いは大丈夫かだろうか、無言で頷いた。グライフスも頷く、そして口を開いた。

「我ら両名、必ずや御期待に応えて見せます。決して反乱軍に好きに
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ