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少女は 見えない糸だけをたよりに
13-6

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 夏を迎えようとしていたが、今年も祇園祭は中止とかで、街も何となく落ち込んでしまって、飲食店なんかも活気を失われていた。そんな中だったけど、新しいお店は、そんなに客足が途絶えることもなかった。そして、すみれさんところのパンの移動販売も在宅が増えたせいなのか、好調で売り上げを伸ばしているみたい。だから、ワッフルサンドも順調に売れて、比較的そっちの売り上げのほうが多くなっていた。

「香波 お盆休み取れるんだろう? 実家に連絡するから・・」

「うん お店自体は お休みにする だけど、木屋町のお店は暁美さんに任せてるから、どうするかなー それと、すみれさんとこのパン屋さんも・・」

「香波も休めないのか?」

「ううん みんなにお願いして 休みとるつもりだけど・・ お姉ちゃんも、代わりに入ってくれるっていっているし」

「そうか じゃぁ 近くの宿 取るよ 高校の時の同級生がやっているとこあるから  コロナで客足がもうひとつって言っていたから 空き室あると思う」

「泊るんだー」

「そう 実家には 日帰りってことにして 海水浴でも・・ いいだろう?」

「うん いいけど 今度は、ちゃんと お父さんに話すね 巧と一緒だってこと」

「香波がいいなら それで、いいんじゃぁないか 結婚する意志も伝えてあるんだから」

「そそうだよねー でも なんて言われるかなー まだ 結婚前だし・・」

「それなりに 覚悟してるだろうから・・今更、古臭いこと言わないと思うよ」

「だと いいけどね 私 お父さんに叱られたことないから・・わかんない 今までは、娘って言っても、形だけだったからね だけど、今は帯屋の娘なんだよ 本気で、そんなこと許さんと言われるかも 怖いなぁー」

「だったら 内緒にしておけばー」

「ダメ 嘘つきたくない! 娘なんだから・・ね」

「複雑 香波の気持ち 香波はどうしたいんだよー」

「行きたいに決まってるじゃあない 巧と海を見ながら、抱かれていたいし・・」

「じゃぁ 堂々と お父さんにも 言えるだろーぅ?」

「だね でも 怖い」

 私は、巧の胸に飛び込んでいった。しっかりと、抱きしめて欲しかったのだ。
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