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母が付き合っている人を
第二章

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「その人を」
「それじゃあね」
 母も頷いてだ、後日。
 母は穏やかで四角い顔の白髪のがっしりした体格の老人を連れて来た、彼は三人に礼儀正しく頭を下げるとだった。
 そのうえでだ、こう名乗った。
「浜崎正一といいいます」
「浜崎さんですか」
「はい」
 修に答えた。
「須美さんとはです」
「お話は聞いています」
 修はすぐに答えた。
「ボランティアの時にですね」
「知り合ってお付き合いしています」
「あの、お仕事は何だったのでしょうか」
 妙はこのことを聞いてきた。
「今は引退されていると思いますが」
「雑貨屋をやっていまして」
 浜崎は素直に答えた。
「今は息子夫婦がです」
「やっておられますか」
「今店はイオンの方にあります」
 そこに入っているというのだ。
「商店街から」
「そうなのですね」
「そうです」
「あの、息子さん達はこのことはご存知ですか?」
 祐樹はこのことを問うた。
「お付き合いしていることは」
「はい」
 このことも素直に答えた。
「左様です」
「そうですか」
「もう私の方からです」
「母をですね」
「女房に先立たれて三年経っていまして」
 そしてというのだ。
「もうです」
「そうですか」
「それで次はです」
「私があんた達に紹介することになったの」
 母も言ってきた。
「そうだったの」
「そうだったんだ」
「ええ」
 その通りだというのだ。
「今回はね」
「そのこともわかったよ」
「そうした事情もね」
「それは何よりね。ただね」 
 母はあらためて言った。
「お母さんがこの人とお付き合いすることは」
「そのことだけれど」 
 長男の修が言ってきた。
「初対面だしもっとその人のことを知ってから言わせてもらいたいんだけれど」
「そうね、私達はじめてお会いしたから」
 妙も言ってきた。
「全く知らないから」
「そうだね、親父死んだから誰と付き合ってもいいけれど」
 祐樹は兄と姉に続いた。
「問題はその人がどうかだから」
「だからな」
「もっとその人のこと知ってから言うわ」
「付き合っていいかどうか」
「それでいいかしら」
「わかったわ、じゃあこの人のことよく見てね」
 母は慎重な感じの子供達の言葉に頷いた、そうしてだった。
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