第八十一部第三章 無関心でいられる訳その三十八
[8]前話 [2]次話
「そう呼ばれている人もいますが」
「この場合の老害は違いますね」
「その分野で役目が終わっていても残り」
自分の運命に逆らう、去るべき時に去らずにだ。
「そして時代遅れだったり何時の間にか既得権益になっていたり」
「古いものを振りかざしたりして」
「時代に合わない、そして」
「その様になって」
「迷惑になっている人がいますが」
「そうなるのならですね」
「去るべきです」
死なずとも、というのだ。
「そうした人は」
「そうして隠棲してですね」
「静かに暮らす方がいいです」
「世の中にとって、そして」
金は肉を食べた、辛く味付けされた韓国風の味付けの肉も美味い。
「自分自身にとっても」
「老害になるならですね」
「それよりもです」
「隠棲して静かに過ごすべきですか」
「年金生活に入り」
そのうえでというのだ。
「そうした方がいいです」
「そうなりますか、ではモーツァルトも」
ここで金は秘書が例に出した天才の話をした。
「老害になるなら」
「はい、そうならです」
「隠棲すべきでしたか」
「夭折しないなら」
そのうえで老害になっているのならというのだ。
「そうすべきだったかと」
「そうですか」
「はい、ただ彼は浪費家でした」
貧しかったというが実はその作曲での報酬は相当なものだった、皇室からの仕事も受けていたのだから報酬が低い筈がない。
「ビリアードに凝っていて」
「そこで散財していましたね」
「音楽の天才でした」
このことは紛れもない事実であった。
「天才という言葉が最初から彼の為に用意されていた様な」
「そこまでの天才でしたね」
「音楽については。ですが」
「それは今も名高いですね」
「生活能力がありませんでした」
これが彼の難点だった。
「発達障害だったとも言われていますが」
「はい、彼はどうも」
金も思うことだった、このことは。
「発達障害の可能性も」
「高いですね」
「実際にです」
そうだとだ、金はまた述べた。
「伝記に伝えられる様な人物なら」
「発達障害とですね」
「考える方が自然です」
「エジソンと同じく」
「そう思われる事柄が多いです」
モーツァルトの人生の中にはだ、音楽に対してあまりにも多くの才能を持っていることにしてもだ。
「ベートーベンと違い」
「ベートーベンは人間性がそうだっただけで」
「極端に頑迷で気難しく」
秘書は彼の性格のことも話した。
「尊大で癇癪持ちだったということは」
「また違いますね」
「彼はそうした性格だったのでしょう」
発達障害でなくだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ