第八十一部第三章 無関心でいられる訳その三十六
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「どうしてもです」
「甘いものですね」
「それが好きで」
それでというのだ。
「お砂糖もです」
「かなり入れられて」
「クリームやクリープもです」
こちらもというのだ。
「いつもかなり入れています」
「そうして飲まれていますね」
「そうしています。そして今夜も」
「楽しまれますね」
「そのうえで執務に戻ります」
「わかりました、しかし思えば」
秘書は金の話をここまで聞いてあらためて思った、そしてその思うことをここで金に対して言うのだった。
「当時のアメリカの肥満は」
「やはり異常ですね」
「それも人数も多かったですから」
その極端に肥満している市民の数もというのだ。
「当時はアメリカイコールです」
「肥満ですか」
「そうも言われていましたから」
「カロリーの過剰摂取ですね」
「糖分と油分もかなりだったので」
「そういえばプレスリーも晩年は」
ここで金はこの時代にも名を遺す歴史的スターの名前を出した、エルビス=プレスリーのことである。
「太ってきていましたね」
「はい、どうやらあの人は」
秘書もプレスリーのことを知っていて言う。
「晩年は偏食になり」
「そのせいですか」
「ドーナツばかり食べ」
常に手元にある様にしていたという。
「それで、です」
「肥満していったのですね」
「若い頃は精悍でしたが」
派手な腰を振るダンスとその外見的魅力が歌と並んで人気の源であった、彼は当時のアメリカの音楽を変えたとまで言われていた。
「しかし」
「それでもでしたね」
「ドーナツばかり食べる様になり」
「肥満していきましたね」
「それであのまま生きていますと」
「やがては」
「若しかすると今話している当時のアメリカの肥満の様に」
その様にというのだ。
「なっていたかも知れません」
「そうですか」
「私は彼の音楽を愛しています」
この時代にも残っているのだ、監獄ロックやラブミーテンダー等がそうである。
「ですが」
「肥満してですね」
「夭折したことは残念です」
「確か四十代でしたね」
「あまりにも若かったかと」
秘書はこの時代の平均寿命、百歳のそれから述べた。
「やはりよりです」
「長くですね」
「生きて欲しかったです」
こう金に言うのだった。
「天才は夭折するものか」
「それは、ですね」
「違うと思います」
「天才は、ですね」
「死ぬのは年老いてからでいいです」
夭折なぞせずにというのだ。
「百歳まで生きてです」
「その得意とする分野で、ですね」
「人類に貢献すべきです」
「プレスリーもですね」
「はい、長く生きて」
そしてというのだ。
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