第二章
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[8]前話
かなり辛く思った、だが妻は厳しく言ってきた。
「当然の結果よ」
「塩分摂り過ぎたからだね」
「そうよ、そんなことしたらよ」
家で夫に言うのだった。
「当然の結果としてよ」
「高血圧になるんだね」
「昔から運動も節制もしないから」
そうした生活だからだというのだ。
「当然としてよ」
「こうなるんだ」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「血圧が下がるまではよ」
「一二〇まではなんだ」
「下がっても前みたいにはよ」
「お味噌汁にお醤油は駄目かな」
「そうよ、絶対にね」
それはというのだ。
「しないことよ」
「辛いね」
「辛くないわ、普通に食べていたらね」
妻の言葉は今も厳しかった。
「こうはならないのよ」
「血圧二百にはなんだ」
「ならないから、じゃあ下げていくわよ」
毎朝血圧の検査もしつつ言うのだった、富田は周りにもいつも言われながら節制をしていった。そうしてだった。
健康的な食事を摂っていくとある朝遂にだった。
「やったよ、百二十だよ」
「そこまで下がったわね」
「うん、努力の介があったよ」
妻に笑顔で話した、そこには娘もいる。
「本当によかったよ」
「それは何よりね」
「うん、ただね」
娘にも応えて言った。
「やっぱり食生活って大事だね」
「そうよ、前みたいなのだったらよ」
妻はここでも厳しく言ってきた。
「またよ」
「血圧が上がってだね」
「死にそうだって言われるわよ」
「そんなことは二度と御免だよ」
「そう思うならね」
それならというのだ。
「いいわね」
「これからもだね」
「そう、もう極端な塩分控えめのお料理にはしないけれど」
それでもというのだ。
「前みたいにね」
「お味噌汁にお醤油とかはだね」
「しないことよ、いいわね」
「わかったよ、気をつけるよ」
「そうしましょう、今夜は鮭のムニエルだけれど」
「お父さんおソースは駄目よ」
娘が言ってきた。
「ムニエルもちゃんと味が付いてるからね」
「そうするよ、健康の為にね」
「そうしてね」
娘の声も厳しかった、家族そして会社の部下達のそうした言葉を受けてだ。富田は健康を維持することが出来た。
そしてある日年老いた母に実家で言った。
「全部僕のことを思ってだね」
「言われるうちが華よ、あんたが心配される様な人だからよ」
「言ってくれるんだね」
「食べもののこともね、だからいいわね」
「これからも気をつけるよ」
こう母に言った、そしてこれまで以上に気をつけるのだった。
お味噌汁にお醤油 完
2022・7・18
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