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ケチな梨売りの因果
第二章

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「いいな」
「そうですか」
「お年寄りにもああだからな」
「本当に意地悪い奴だよ」
「あの腐った性根は見ていて腹が立つ」
「全くだ」 
 西安の人々は二人のやり取りを見て顔を顰めさせた、それでだった。
 先程喉が渇いたので助米から梨を数個高値で買って喉を潤していた彼の隣で豚肉を売っていた男が言ってきた。
「よかったら一個どうですか」
「くださるのですか」
「はい、どうですか」
「いえ、実はです」
 ここで道士は笑って話した。
「私は沢山の美味しい梨を持っていまして」
「えっ、そうなのですか」
「はい、ですから」 
 驚く肉屋に話した。
「いまからこの西安の皆さんに分けてあげます」
「あの、何でですか?」
 肉屋だけでなくだった。
 そこにいる全ての者がいぶかしみそのうえで道士に尋ねた。
「持っているなら欲しがったのです?」
「ちょっとわからないんですが」
「どうしてですか?」
「これはまた」
「それはこれからわかります」 
 こう言ってだった。
 道士はまずは肉屋から貰った梨を美味しそうに食べた、梨は瞬く間に芯だけになり道士はその芯からだった。
 種を取り出した、すると。
 その種を足下に撒いた、そこから忽ちにだった。
「何と、種から芽が出たぞ」
「そして木になったぞ」
「あっという間にそうなったな」
「そして実まで実ってきたぞ」
「梨の実が実るには十六年かかるというのに」
「これは不思議なことだ」
「これは仙術か」
 見ている者達は不思議に思った、そしてだった。
 実は次々に実った、そのどれもが見事なもので。
 道士は見ている西安の人達に梨の実をもいでから言った。
「さあ皆さん遠慮なく」
「食っていいんですか」
「その梨を」
「どれも見事な梨ですが」
「そうしていいんですか」
「はい」
 笑顔での返事だった。
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