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オレンジの娘
第四章

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 王子はある日オレンジに問うた。
「そなた実はオレンジの中に人の姿があるね」
「どうしてそう思われますか?」
「確かにそなたはその姿で様々な仕事をこなしている」
 オレンジの姿のままでというのだ。
「そうしている、しかしだ」
「それでもですか」
「出すものは全て人が使うものと同じだ」
 このことから言うのだった。
「オレンジの姿のままでは必要がない」
「そうしたものばかりですか」
「包丁等は使えても」
 オレンジのままでというのだ。
「どうして人が着る服や指輪や腕輪や靴が必要なのか」
「それは」
「それはそなたもっと言えばオレンジの妖精が実は人と同じ姿だからだ」
 王子は笑って話した。
「それ故にだ」
「そうしたものが売り買いされていて」
「使われている、生み出しもだ」
「されているというのですね」
「そうしたものが使えて有り難く思うのは人の姿をしているからだ」
 それ故にというのだ。
「果たして馬に指輪が必要か」
「いえ」
 オレンジはすぐに答えた。
「それはです」
「そうだね」
「馬は蹄ですので」
 その足の先はというのだ。
「指輪なぞです」
「嵌められないね」
「人の姿をしているからこそです」 
 まさにというのだ。
「指輪はです」
「だからだよ」
 王子はオレンジを見て話した。
「そなた達オレンジの妖精は実はだよ」
「人と同じ姿をしていると」
「思うのだがね」
「そうなのですか」
「違うだろうか」
「実は」
 オレンジは王子の言葉に畏まって答えた。
「その通りです」
「やはりそうだな」
「妖精はです」
「人間と同じ姿をしているな」
「元がどうであれその本来の姿はです」
「そうだな」
「ですから私達も」
 オレンジの妖精達もというのだ。
「オレンジの姿をしていても」
「その実はだな」
「人間と同じ姿をしています」
「ではその皮を脱げば」
 オレンジの皮をとだ、王子は言った。
「そなたもな」
「はい、人間の姿です」
「ではよかったらその皮を脱いでだ」
 そうしてとだ、王子はオレンジに話した。
「そなたの本来の姿を見せてくれるか」
「そうして宜しいですか」
「そうだ、そなたがよければな」
「無理にとは言われないですか」
「若しそなたが今オレンジの皮の中で裸ならそれは出来ないだろう」
 王子はオレンジに無理強いしない理由も答えた。
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