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音痴のラブソング
第一章

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                音痴のラブソング
 須藤陽子奇麗に伸ばした黒髪と切れ長の長い睫毛の目に細く奇麗なカーブを描いた眉に整った形の紅い唇と顎の先が尖った白い顔を持つ彼女は背は一五五程でスタイルには自信がある。いつもスカートで膝の少し上の丈で統一している。
 大学に通いつつ塾の講師をしているが。
 ある日塾の生徒の一人であり中学生の湯上敏行背は陽子より十センチは高いがまだ顔は幼く黒い髪の毛がツヤツヤしている彼に授業が終わってから切羽詰まった様な声で言われた。
「あの、今度先生にお話したいことがあるのですが」
「何かしら」
 陽子は彼の表情から何が言いたいのか察しつつ応えた。
「一体」
「今度お時間ありますか?」
「明日は先生お休みだけれど」
 大学が終わるとそうなのでこう返した。
「貴方も塾の授業なかったわね」
「はい、明日は」
「じゃあ明日ね」
「お話していいですか」
「大学の場所知ってるわよね」
 陽子は敏行にくすりと笑って話した。
「貴方の通っている中学のすぐ傍だし」
「はい、そうでしたね」
「じゃあそっちの学校の授業が終わったら」
 陽子は自分が主導権を握っていることを自覚しつつさらに言った。
「大学に来て。校門で待ち合わせしましょう」
「わかりました」 
 こうして約束した、そして。
 次の日陽子はキャンバスの中で友人に敏行に言われたことを話した、すると友人は陽子に対して言った。
「自分の生徒それもなのね」
「中学生の子から告白受けるなんてね」
 友人に満面の笑みで話した。
「私にこんなことあるなんて」
「それで受けるの?」
「塾には内緒でね」 
 友人に片目を瞑って応えた。
「丁度今フリーだし彼外見悪くないし真面目で勉強も頑張ってるから」
「そうするの」
「彼は十四私は二十歳だけれど」
 二人の年齢のことも話した。
「まあいいわよね」
「六歳年下でも」
「ええ、それじゃあね」
「これからなのね」
「講義終わったら彼に会うわ」
 笑顔で言ってだった。
 まずは大学の講義が終わるのを待った、その間ずっと早くその時になることが待ち遠しかった。そうしてだった。
 講義が終わるといそいそと校門に向かった、するとそこには黒の詰襟姿の彼が周りをきょろきょろしながら必死の顔でいた。
 その彼のところに行ってそっと声をかけた。
「ここじゃ目立つからね」
「別の場所で、ですか」
「お話しましょう」
 こう言ってだった。
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