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星河の覇皇
第八十一部第二章 軍事の素養その三十三

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「それ以前にだ」
「騎士ですね」
「そうだ」 
 こう言うのだった。
「我々はだ」
「騎士道に則り」
「武の道に進みな」
 それに専念してというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですか」
「世事を見ずな」
「そうしてそのうえで」
「切符を買うことすらな」
 それこそ平民の社会では小学校高学年でも出来る様なことでもというのだ、出来ないというのである。
「そうなる」
「信じられないですが」
「だが実際のことだ」
「そこまで世の中のことにですか」
「疎くなるのだ」
 軍人、それも高級軍人はというのだ。
「どうしてもな」
「外出は」
「車があるしその際もだ」
 プライベートの時もというのだ。
「君達がいる」
「私達がですか」
「常に何かをしてくれるな」
「そういえば」
 メイドもそう言われると否定出来なかった。
「何処に外出されるかをお聞きして」
「全て手配してくれるな」
「お一人で行かれる時も」
「全て手配してくれるな」
「お仕えしている私達が」
「それが君達の仕事だしな」
「ですから」
 それだけにとだ、メイドも答えた。
「私共もです」
「手配をしてくれるな」
「はい、そして」
 そのうえでというのだ。
「旦那様はですか」
「もっと言えば高級軍人はな」
「どうしてもですか」
「世事を知らなくなりしかもだ」
「騎士であるので」
「騎士は正義を護るものだな」
 これがエウロパの騎士道の考えだ。
「民と領地を護り」
「そしてでしたね」
「正義と平和も護る」
「それが為の剣ですね」
「誇りも護りな」
 これれは家門のそれである場合が多いし自分自身のものであったり婦人や友人のものであったりもする。
「そうするからな」
「正義感は強いですか」
「正義感のない軍人なぞだ」
 それこそとも言うマールボロだった。
「警官も同じだが」
「あってはならないですか」
「そうだ、そもそもな」
「だからですか」
「正義感は強くて当然だ」
 軍人ならというのだ。
「それがいい、だが」
「それでもですか」
「それがこうした場合はな」
「よくないのですか」
「世事を知らずだ」
 そしてというのだ。
「正義感が強いとな」
「わかります、それなら」
「空回りするな」
「どうしても」
 メイドも容易にわかることだった、むしろ実際にマールボロ以上に世間を知っているので余計にわかっている。
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