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少女は 見えない糸だけをたよりに
11-5

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 そのまま、7月中旬、昼すぎに巧がお店の前に自転車で乗り付けて、ひょっこり顔を出した。

「突破したよ 1次」

「ウワー 良かったー 巧 すごいね」と、私は、抱き着いていた。

「まだだよ 2次も論文とか口述がある」

「そーだね でも、自分の考えをしっかり言えば大丈夫なんでしょ」

「そんな簡単に言うなよ みんながその気で来てるんだから」

「大丈夫 巧はいろんなとこに行って 揉まれてきているんだから」

「だと いいけどな なぁ 店 何時まで? 簡単に前祝いしようよ」

「うーん 6時なんだけど ええやん お客さん居ないし ここで そこのコンビニでビール買っといでよー カウンターの隅で飲んでたっていいよ なんか、作ってあげるから そー しょ」

「そうかー じゃー そーしよーかー」

 巧が戻って来たとき、珍しく若いお母さんが子供を二人連れてやってきていた。テイクアウトだったんだけど、作る間、外は暑いのでお店の中に案内していた。

「おねえちゃん ウチのん キューイ多い目にしていてーな 中のクリームにつけて食べるとおいしいから好きなんだ」と、上の女の子が言ってきた。まだ、小学校に上がる前くらいなんだろうか

「いいよ わかった じゃぁ 倍にしておくね」

「これ かすみ 入れるもの決まってるんだから そんな勝手言うんじゃあないわよ」と、お母さんがその子の手を引っ張っていたので

「いいんですよ 特別ですから おいしく食べてね」と、私は笑顔を向けていた。

「うん うれしい 楽しみだなー おねえちゃん ありがとう」私も、こんな可愛らしい子が欲しいと思っていた。

「おねえちゃん バイバイ」と、帰って行ったあと、巧が

「香波は こどもにも人気あるんだな」

「だって 天使なんだよ 誰にでも 好かれなきゃー」

「そうか 僕の恋人は 天使なんだ」

「バカ 私は巧の・・巧のもんになったんだから そのー ネ」

 そのあとは、お客さんは一人も来なかった。

「ねぇ 今年のお盆は 巧 忙しいよね」

「うーん 試験は終わっているけどなー 結果出るまで、遊ぶ気になれないなー たぶん」

「だよね 受かって パーっと また 海にでも一緒にいけたらいいなぁー」

「うん あのな 実は 沖縄 あの水島さんに一緒に働かないかって 声 掛けられてるんだ ありがたいんだけど もし、府庁で農業改良なんかに携わるのが 僕の志望だからね その時は やっぱり、ちゃんと挨拶にいこうと思っているんだ」

「えぇー 沖縄? 考えているのー 遠いんだよね」

「いや もしかしたらだよ 試験 受かるよ がんばる」
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