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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の十一
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っても同じなのだと。

「奴に挑める余力を残していないハンター達は、瓦礫の下敷きにされている防衛要員達の救護に当たりなさいッ! 後の者は――」

 やがて、震える両手で慣れない大剣を引き抜いたクサンテは。全身を襲う痛みにも、暴れ狂うラオシャンロンの巨躯にも怯むことなく。
 気高き双眸でただ前だけを見据え、啖呵を切るのだった。

「――このクサンテ・ユベルブに続けぇえぇえッ!」

 その凛々しき絶叫と共に。無謀の権化たる未熟な姫騎士は、家臣が残した大剣を手に、ラオシャンロン目掛けて突撃して行く。

 全ての狩猟設備が尽きた今、頼れるのは己の心技体と装備のみ。下位だろうと関係ない。己の身命を賭して、必ずやこの老山龍を討つ。
 その信念を体現し、先陣を切るかの如く。彼女は獰猛なまでに勇ましく、ディフェンダーを振り翳して老山龍に迫ろうとしていた。

「……ふっ、ふふふ、はははっ! 言ってくれるではありませんか、クサンテ姫! 皆ッ、聞いての通りだ! ここまで来たからには我々も……地獄の果てまで付き合おうではないかッ!」

 そんな無謀極まりない彼女の姿を見せ付けられてもなお、絶望したままでいられるようなハンターなど、この場には1人もいない。
 清々しいほどにまで愚直な姫騎士の突撃を目の当たりにしたエレオノール達は、諦めることすら馬鹿らしく思えていた。

 全ての策が潰えたなら、後はもう馬鹿になるしかないではないか。あの姫騎士のように。やがてその結論に至った全てのハンター達は、短い苦笑を経て――走り出して行く。

 彼女の言う通り、まだ戦いは終わってはいないのだから。

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