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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の四
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ラシリーズ一式の防具をその身に纏っていた。

 彼女もこの場には似つかわしくない天然発言で、アーギルを呆れさせているのだが。その言動に対して太刀の扱いは鋭利に研ぎ澄まされており、彼女が振るうユクモノ太刀に斬られたイーオス達は、痛みに気付く暇もなく息絶えていた。

 2人の太刀使いの参戦により、イーオスの群れは僅かにたじろぐ。柔らかな雰囲気の中に隠された、両者の鋭い殺気を本能的に感じ取ったためだろう。
 だが、背後に立つドスイーオスに進撃を命じられている彼らが、戦いを諦めることは断じて無いのだ。鳥竜種としての本能に忠実だからこそ、彼らはフィレットとカヅキにも牙を剥こうとしている。

「砲撃は一旦、ロエーチェさんやアーギルさん達にお任せして……ここは私達で、邪魔者さんを排除するしかないようですね〜? 砲弾を無事に届けられないままでは、ラオシャンロンを攻撃するのも困難ですし……」
「で、でも、いくらお2人でもこの数は……!」
「大丈夫ですよー、リリアさんっ! この事態に気付いてるのは、私達だけじゃないですからっ!」
「えっ……!?」

 ロエーチェ達だけでも砲撃を続けて貰わなければ、ラオシャンロンへの攻撃が完全に止まってしまう。ならば、自分達でその道を切り拓くしかない。
 柔らかな口調でそう告げるフィレットの言葉に、不安げな声を漏らすリリアだったが――そのか細い肩に手を置くカヅキの眼は、自信に溢れていた。

 ――そして、それから間も無く。カヅキの言葉通りに、何人ものハンター達が続々とこの通路に駆け付けて来たのだった。

 決して集団戦に適しているとは言えない、この砲弾運搬用通路を舞台に。ドスイーオス率いるイーオスの群れと、砲台に立つはずだったハンター達による総力戦が始まってしまったのである。

 この狭い空間での戦闘となれば、イーオスの武器である毒液を凌ぐのも難しい。彼らはそれを承知の上で、仲間達の道を切り拓くために駆け付けて来たのだ。
 そんな彼らの姿を目にしたアーギルは、不遜に鼻を鳴らして不満を口にする。

「……あのバカども、自分達の持ち場からホイホイ離れてんじゃねぇっての」

 だが、その口振りに対して。口元は僅かに、緩んでいた。

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