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星河の覇皇
第八十一部第二章 軍事の素養その二十六

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「私もな」
「それで、ですね」
「ティ―カップを差し上げられて」
「次に行かれる時もですね」
「何かを、ですね」
「そう考えている、今度はだ」
 マールボロは笑って話した。
「最高級のスコッチとだ」
「スコッチウイスキーですか」
「あちらをですか」
「ジャバル副主席に差し上げられますか」
「贈りものとされますか」
「そして犬もいいだろうか」
 生きものもというのだ。
「そちらもな」
「ジャバル副主席はヒンズー教徒ですし」
「なら犬も問題ないですね」
「これがムスリムなら問題ですが」
「ヒンズー教徒ならいいですね」
「イスラムではどうしてもな」
 マールボロもこのことは知っている、何故イスラム世界もっと言えばサハラにおいて犬は好かれないのかを。
「犬の唾液がな」
「好まれないので」
「コーランで不浄とされているので」
「どうしてもですね」
「贈りものにも出来ないですね」
「狼ならともかくだ」
 イスラム世界ではこちらは好かれている、誇り高く恰好のいい獣としてそれで人気もあるのである。
「犬はな」
「狼から生まれたものでも」
「どうしてもですね」
「唾液が嫌われ」
「避けられていますね」
「遊牧に欠かせないが」
 だからイスラム世界でもいることはいるのだ、尚連合やマウリアのイスラム世界では犬は特に嫌われていない。これはもう狂犬病もなくなったからだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「狂犬病を恐れられて」
「そのせいで」
「日本に泉鏡花という作家がいた」
 マールボロは二十世紀のこの国の文豪の話も出した。
「彼は狂犬病を恐れてだ」
「犬嫌いでしたか」
「そうでしたか」
「ムスリムの様に」
「そうだったのですね」
「狂犬病は今も危険だ」
 この時代でもというのだ。
「連合でもな」
「連合は医学も進んでいますが」
「それでもですね」
「感染すると危険ですね」
「命の危険がありますね」
「それも高い」
 死ぬそれがというのだ。
「だからだ」
「それ故にですね」
「その泉某もですね」
「犬を恐れていた」
「そうだったのですね」
「その様だ、日本なら勝海舟もだ」
 幕末、明治に生きたこの人物もというのだ。
「犬が嫌いだったしな」
「確か日本の海軍に関わった人物でしたね」
「幕府の最後にも関わったとか」
「日本の武士だったと聞いています」
「彼は犬に噛まれてだ」
 睾丸を噛まれて死線を彷徨ったという。
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