暁 〜小説投稿サイト〜
少女は 見えない糸だけをたよりに
10-2

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 年が明けて最初の日、店にお姉ちゃんが暁美さんと一緒に、一人の女の子を連れてきた。

「有馬奈々ちゃん 暁美ちゃんの旦那さんの妹さん 暁美ちゃんに代わって今日からウチで働いてもらうの」

「よろしくお願いします お姉ちゃんみたいにいかないですけど・・一生懸命やります」と、ペコリと頭を下げていたけど、なかなか愛らしい人だった。

私とすみれさんも自己紹介したら

「ふたりともね、手際良くて、ついていくの最初大変だけど、どんどん叱られなさい。みんな親切だから、叱られても気にしないでいいから」と、暁美ちゃんが言ってきた。

「うふっ そうよ ウチのお店は笑顔も売り物だからね じゃぁ 香波ちゃん 責任もって教えてあげてね」と、私に押し付けて、お姉ちゃんは出て行ってしまった。

「相変わらず、一方的ね 香波ちゃん 午前中はウチも居るから、最初、要領教えておくから・・」

「お願いします 助かります」と、私は準備に取り掛かり始めたら

「この子ね 年末まで、スーパー向けのサンドイッチとかおにぎりを作っている会社にいたんだけどね、そこの男連中がだらしないのばっかりで、卑猥なことばっかり言うんで嫌だったんだって だから、辞めたんだって」と、暁美さんは、すみれさんに話しかけていた。私は、奈々ちゃんを奥に連れて行って、タイムカードとか制服を用意してあげていた。

 まだ、学校も始まっていないので、その日はパラパラとしかお客様も来なくて、私もゆっくりと焼き方なんかを奈々ちゃんに教えていた。私より、一つ年上で去年高校を卒業して勤め出したみたいだった。

 夕方、くるみちゃんが来て、顔合わせしたら

「よかったー 見つかって ウチな 見つからへんから、店長にどう言ったらええんやろーって考えていたんや」と、安心していたみたい。

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