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星河の覇皇
第八十一部第一章 全戦線でその四十五
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「この上なくな、だがそのリア王ですらだ」
「自らの批判を許していた」
「鏡を見ていたのだ」
「それが道化でしたね」
「愚かなリア王が出来てだ」
「閣下がですね」
「出来ない筈がない」
 自分自身がとだ、ギルフォードはアランソに述べた。
「そう考えているからだ」
「批判はいいのですね」
「批判を受け入れられない者が大事を為せるか」
 こうも言うのだった。
「システムがそれを許さないならともかくな」
「共産主義国家の様に」
「社会主義国家も同じだ」
「国家システムとして一つでならないとなりませんね」
「そうだ、共産主義国家はソ連でだ」
「社会主義国家はナチス=ドイツですね」
「どちらも一党独裁国家で極端な中央集権国家だった」
 そして権限は国家元首に集中する、即ち独裁者達に。
「エウロパも中央集権国家だが」
「限度がありますね」
「ソ連やナチスは極端なだ」
 まさにというのだ。
「中央集権国家だったな」
「全ての権力をソビエトに」
 カミュはここでこの言葉を出した。
「そうありますね」
「そうだ、そうした国家はだ」
「異論は許されないですね」
「異論を言えばだ」
 独裁者へのそれをだ。
「それを許せばな」
「それだけで、ですね」
「その国家システムが揺らぐ」
「側近が諌める位しか出来ないですね」
「それも相当な人物がな」
 ナチスではゲッベルスがかろうじてだったであろうか、ただしその彼も電撃戦で知られている名将グーデリアンの自伝では肝心な時にそれが出来ていなかった。スターリンに対してはKGBの長官のベリアが時折程度だった様だ。もっともこのゲッベルスにしてもベリアにしても悪評の高い者達ではある。
「出来る位だ」
「エウロパとは違いますね」
「エウロパも確かに中央集権国家だが」
「各国の政府も存在しています」
 言うならばこれが地方政府だ、ただしその権限は各国の権限の強さでしられる連合とは比較にならない。
「そして総統といえども」
「制約がある」
「法律に従わねばなりませんね」
「エウロパのな、総統もまた法の僕だ」
 ギルフォードはその総統として言い切った。
「そこから逸脱は出来ない」
「左様ですね」
「だからだ」
「閣下もまた」
「法律に従いだ」
 そしてというのだ。
「国家、そして市民に奉職せねばならない」
「それ故にですね」
「独裁者ではない」
「自身が法律ではない」
「そのことははっきりしている」
「国の主は国家の第一の下僕である」
 アランソはメゾソプラノの冷徹な声で述べた。
「元々はフェリペ二世の言葉でしたね」
「スペイン王のな」
「元々の言葉は国の主ではありませんでした」
「王だったな」
「フェリペ二世がスペイン王であったの
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