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赤嶺巧 特別編 それから 本町絢と水島基は、 少女は 見えない糸だけをたよりに・・
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なったらね もうー あっ 直ぐに夕飯の支度するね」と、お母さんは台所に立って行った。綺麗な人だ。

「僕達は、大阪の出身なんだ。いろいろあって、この地に来たんだけどね。僕が、この海のサンゴを守るつもりで来た。絢は付いて来てくれたんだ。だけど、結局は、移植するぐらいしか手がない。温暖化の影響は止められない」

「あのー 僕が今まで、行ったとこは、あんまり、環境のことを考えているとは思えないところばっかりだったんですけど」

「そんなことはないよ 農業なり漁業をやっている人達は、みんな考えているはずだ。ただ、その方法が解らないんだよ。僕の場合は、まわりに恵まれていた。水産会社の社長さんがね、この島で取れた魚を殆ど買い取ってくれて、加工品にしてくれている。たい肥は島らっきょうの栽培に利用している。この島は漁業と観光で産業が成り立っているんだけど、あんまり観光に偏り過ぎると、自然が壊れて行く可能性があるからね。だから、僕は出来るだけ観光以外で地場産業を活性化させたいんだ。君もしばらく居るとこの綺麗な海と島の自然を残したいと感じるはずだよ」

 そのうち、お膳には晩御飯のものが並べられていった。そして、おばぁさんと奥さん、それに横のほうで絵を画いていた実海ちゃんも座って

「去年な、ここの敷地内に家を建てさせてもらって移ってきたんだよ。前借りていたところは、周りが雑草だらけでね、絢が変な虫がきて嫌がっていてな。洗濯ものも外に干せないって‥」

「だって 実海が平気で草むらの中にいっちゃうんだもの・・怖くて それに、おばぁちゃんとも一緒に暮らさなきゃね」

「みゅうみゅんは ばぁーちゃとじいーちゃ いっぱいいるんだよー」と、もう箸とスプーンを両方の手に持って使って器用に食べていた。

「うふふっ 私達 ふたりとも大阪の出身なのよ いろんな人にお世話になったからね 私ね 小学校の時に、この人を好きになっちゃってね それから、ずーと後ろを追いかけて、ここまで来ちゃったの」

「えっ そうなんですかー そーいえば、杉沢先輩も大阪だって言ってた 伝説の女を惚れさせて一緒になった男だからって」

「あいつ そんなことまで言ってるんかー」

「杉沢さんってさー 女っ気ないものねー 理想高いのかしら・・ 赤嶺さんって 彼女いるの?」

「絢 そんなこと ずけずけ聞くなよー」

「良いじゃあない 赤嶺さんって 基の大学生の頃の感じがそっくりだもの」

「僕は 付き合っている娘はいないですけど 決めている娘は居るんですけどね 今頃どこでどうしてるんだか」香波のことを思い出していた。今、どうしているんだろうかと

「それって なあにー 興味あるわね 何か事情ありそう」

「絢 もう 実海も聞いているし そのへんで・・」


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