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冥王来訪
第二部 1978年
ソ連の長い手
ミンスクハイヴ攻略 その5
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美久は淡々とした様子で答えた
「ガンマ線です」
途端に顔が厳しくなる
「奴らめ、核弾頭を使ったな」

 核搭載の八卦ロボ・山のバーストンを作ったマサキ自身には、核忌避の感情は無かった
世界的に反核運動が下火で、1960年代を生きた彼にとっては当たり前の感覚
当時の世界に在って、『核爆弾』は強力な兵器の一つでしかなく、放射線医学も発展途上
だからと言って面前に放射線を浴びせられるのは、いい感情はしない……
 力を信奉し、法の概念も無く、約束を弊履が如く捨てる蛮人
飢えと寒さの中に身を置き、最前線で戦ってきた兵士達への手酷い対応……
捕虜となっていた50万の復員兵をシベリアの収容所に投げ入れる
10年に及ぶ強制労働の果て、痩せ衰え死なせた事
傷痍軍人に、保障らしい保証も与えずをいとも簡単に見捨てる
その多くは家族や社会から見放され、身窄(みすぼ)らしい養老院で手酷い扱いを受けた事
ペレストロイカが始まるまで、『ソ連には障碍者はいない』と、当局は(うそぶ)くほどであった
同胞に対してそうなのだから、異邦人に対しては()して()るべしだ
ワルシャワ条約機構の盟邦であるポーランドと東ドイツに、核弾頭を放り込む蛮行

彼の中に暗い情念が渦巻いていた
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