暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第八十一部第一章 全戦線でその二十九

[8]前話 [2]次話
「かなり難しい本も読破している」
「そうして愛読書にされていますね」
「しかし軍事関係の書はな」
「一冊もない」
「それはアウトカースト層の政府に軍隊が存在しなかったからだ」
「アウトカースト層の社会にも」
「彼等はあくまでマウリアの中の政府でだ」
「マウリアの国防については」
「マウリア政府が行っていた」
 アウトカースト層以外の者達の政府だ。
「軍隊を以てな」
「左様でしたね」
「だからアウトカースト層の政府の中、そして社会の中で生きるのならな」
「そうした書を読む必要がなく」
「それでだ」
「軍事の書も読んでおられず」
「必ず軍には露骨な介入を行う」 
 国家元首つまり軍の最高司令官の権限を以てだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「マウリアを負けさせる」
「どういった相手に対しても」
「そうなる、ジャバル副主席は戦争はしないことだ」
「何があろうとも」
「それがマウリアの為でありだ」
 そしてと言うのだった。
「あの御仁の為でもある」
「最初から戦争をしないことですね」
「素人が何も学ぶことをせず挑んでもだ」
「失敗してしまいますね」
「そうなってしまう」
 まずこうなるというのだ。
「確実にな」
「だからマウリアの為、あの御仁の為にも」
「ジャバル副主席は戦争なぞしないことだ」
 絶対にというのだ。
「まことにな」
「そうですね、ですがそもそも」
「マウリアに戦争を行う必要があるか」
「それはです」
「ないな」
「はい」
 モンサルヴァートも答えた。
「そもそも」
「そうだな」
「ですから」
「この仮説はな」
 ジャバルがマウリアを戦争に導くというそれはというのだ。
「まずないな、これからどうなるかわからないが」
「それでもですね」
「まずだ」
「戦争にはならないですね」
「今のマウリアで戦争を行う必要性がな」
「ないからこそ」
「この仮説は成り立たない」
 こう言うのだった。
「ジャバル副主席は野心家だがな」
「愚かではなく」
「軍事について無知でもな」
「戦争をすべきかどうかは」
「その都度見極められる」
「それだけの資質がおありですね」
「だからだ」
 それ故にというのだ、ジャバルがそうした者だからこそ。
「マウリアが彼が国家主席になったとしてだ」
「その座におられる時に戦争を行うか」
「その可能性はな」
 どうにもというのだった。
「ほぼない」
「絶対ではないにしても」
「可能性は極めて低い」
 それ自体はとだ、ギルフォードはこのことは強調した。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ