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星河の覇皇
第八十一部第一章 全戦線でその二十七

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「共に武力を用いる組織だが」
「それでもですね」
「警察は治安に特化していてだ」
「軍隊は治安も担当することがありますが」
「戦争を行う」
「そうした組織です」
「災害救助も担う」
 エウロパにおいてもこれは軍隊の重要な任務の一つである。
「そちらもな」
「左様ですね」
「だから警察を使うことと軍隊を使うことは違う」
「それが近代国家であり」
 十九世紀以降のだ。
「マウリアも然りですね」
「そうだ、そしてジャバル副主席はアウトカースト層の政府の代表だったが」
 しかしというのだ。
「アウトカースト層の政府警察は存在したが」
「軍隊はですね」
「存在しなかった」
「そのことが大きいですね」
「そしてアウトカースト層自体に軍隊が存在せず」
「軍隊を使うことも」
「知る筈がなかった、おそらくあの政府のトップになるまでにだ」
 彼のかつての座に就任するまでにというのだ。
「軍事のことを学んだことはだ」
「ありませんね」
「間違いなくな」
 そうだとだ、ジャバルは指摘した。
「そしてそれに加えてだ」
「元々ですか」
「軍人としての資質がないのだろう」
 そちらの才能はというのだ。
「まずな」
「そうした方ですか」
「だからだ」
「マールボロ議員もですね」
 モンサルヴァートは彼と共にかつてサハラにいて総督府の軍事を担っていた時のことを思い出しつつ応えた。
「そう見られているのですね」
「マールボロ議員ならな」
 まさにとだ、ギルフォードは述べた。
「わかる」
「はい、あの方は軍人です」
「今は貴族院議員だがな」
 軍務から離れているがというのだ。
「やはりな」
「本質は軍人であられます」
「それも優れたな、特に人事に才能を発揮した」
「人を見る目ですね」
「それがある」
 軍人としてそうだというのだ。
「だからだ」
「あの方のお話は」
「正しい、私もそう思う」
「ジャバル副主席に軍事的資質は存在しない」
「彼は生粋の政治家だ」
 ジャバル、彼はというのだ。
「内政も外交も見事でだ」
「謀略もですね」
「出来るが」
 それもかなりにだ。
「それでもだ」
「軍人としてはですか」
「そちらは知識も素養もないからな」
 だからこそというのだ。
「全く駄目だ」
「しかも自覚がない」
「彼はあらゆる政策で大きな功績を残すが」
 マウリアの国家主席に選挙で選ばれてからはというのだ。
「だが軍事ではな」
「失態を犯す」
「そうなる、そしてその失態は」
 軍事的なそれはというのだ。
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